2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03139
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
加藤 浩介 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 音楽音響 / 建築音響 / 歌声 / 声楽 / 自己相関関数 / 音楽演奏解析 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本研究は、音場の心理的評価に関わる重要なパラメータである音源信号の自己相関関数の有効継続時間τ_eと声楽演奏における音楽表現との対応関係を明らかにすることを目的としている。平成15年度は、1.個別の演奏表現要素とτ_eの関係、2.演奏者に好ましい反射音の遅れ時間の個人レベルでの評価(共同研究)に焦点を当てた。以下、研究成果の詳細を示す。 1.個別の演奏表現要素とτ_eの関係 (1)個人差を検討するために、12名の歌手が{歌詞の種類・演奏の速さ・音高変動}の異なる楽譜を演奏した音源を解析した。結果、τ_eは楽譜の種類だけでなく個人の歌い方によっても大きく異なることを明らかにし、母音におけるビブラート深さがτ_eに寄与する可能性を示した。この成果を、2003年6月の音楽音響研究会および2003年8月のストックホルム音楽音響会議において発表した。現在、原著論文を執筆中である。 (2)ビブラートの効果を検討するために、13名のプロ歌手が異なる音高で歌った5母音を解析した。結果、単一母音のτ_eは{母音の種類・音の高さ・ビブラート深さ・イントネーション}を用いた線形モデルによりR=0.66の精度で予測できることを明らかにした。この成果を、2004年2月の音楽音響研究会および2004年3月の国際音楽音響シンポジウムにおいて発表した。現在、原著論文を執筆中である。 2.演奏者に好ましい反射音の遅れ時間の個人レベルでの評価(共同研究) これまでに、声楽演奏者に好ましい反射音の遅れ時間は、音源信号のτ_eと反射音のレベルにより予測できる(R^2=0.68)ことを明らかにした。予測精度を高めるために、ラウドネスマッチング実験を行って個人ごとに異なる自声聴取レベルを求めて予測式に反映したところ、R^2=0.97の高精度で予測することが可能になった。この成果は、2004年5月のアメリカ音響学会および原著論文で発表予定である。
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Research Products
(1 results)