2004 Fiscal Year Annual Research Report
音楽における「自文化」と「異文化」の境界とその再編成
Project/Area Number |
03J03191
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
輪島 裕介 国際日本文化研究センター, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音楽学 / メディア研究 / 大衆文化 / 若者文化 / 大衆消費社会 / 現代日本文化史 / 言説分析 |
Research Abstract |
本年度は第二次世界大戦後の日本の大衆文化の歴史的展開を包括的に研究し、とりわけそこにおける音楽の位置について主題的に検討した。特に、1960年代末から1970年代前半の演劇、映画、マンガ、文学、(劇画)、音楽、美術などの領域を横断する「若者文化」の成立と変容のメカニズムを検討し、それらをそれ以前の「大衆文化」の担い手とは区別しうる「若者(学生)」という社会的・文化的セクターの形成という文脈において位置付けた上で、そのような「若者文化」の1970年代以降の展開について、雑誌資料を中心に実証的に検討した。1960年代末に「外来文化」として英米から移入されたビートルズ以降のロック音楽(当時の言葉では「ニュー・ロック」)が、日本においてどのように土着化し、英米という「本場」を必ずしも範型としない独自の「歴史」を持つに至ったかを論じた「はっぴいえんど神話の構築」論文は、その成果の一部である。 また、これまで代表者が非西洋音楽及び大衆音楽の研究において用いてきた言説史的な方法論を、西洋クラシック音楽の日本における受容という事例に応用し、従来「高級文化」としてヘゲモニックな地位にあると考えられてきたクラシック音楽が、高度資本主義社会の文化産業(/産業文化)に媒介されながら、「西洋近代」の文化的ヒエラルキーを前提としない「ポピュラー」な文化的意味を付与されてゆく過程について実証した。その成果は「クラシック音楽の語られ方」論文で明らかにした。
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Research Products
(3 results)