2003 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブを有する流域における土砂・栄養塩動態に関する研究
Project/Area Number |
03J03194
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤松 良久 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | デルタ / 海水面上昇 / マングローブ / 物質循環 |
Research Abstract |
アメリカ合衆国ミネソタ大学において、河口域に形成されるデルタの海水面上昇に対する応答に関する研究を行った。具体的には河口域での土砂輸送および河床変動のシュミレーションモデルを構築し、さまざまな条件の下で海水面上昇に対するデルタの応答について検討した。その結果、海水面の上昇率と上流からの土砂供給量とのバランスでデルタが前進するかあるいは後退し湾を形成するかが決定されることが明らかになった。また、その成果をAGU(American Geophysical Union)の2003 FALL Meetingにおいて発表した。また、ここで学んだ河口域での土砂輸送および河床変動の数値計算法はマングローブを有する河口域に適応可能であり、出水時の土砂・栄養塩動態の把握に有用であると考えられる。 また、マングローブ水域の平水時の物質循環モデルの構築を行い、マングローブ水域における物質収支に関して検討を行った。本モデルでは、主に閉鎖領域に適応されてきた生態系モデルを比較的解放性の高い感潮域であるマングローブ水域に適用し、さらに、底質中の地下浸透流場の解析もモデル内に取り込み、底質と表層水の間での溶存態物質のやり取りも考慮している。本モデルによって現地河川における潮汐による溶存態の有機物・栄養塩の挙動をおおむね再現可能であることがわかった。本モデルを用いた数値解析の結果、大潮期のマングローブ水域からの溶存態の有機物・栄養塩の供給は小潮期に較べて2〜5倍程度であることが明らかになった。この成果に関しては、現在、土木学会論文集に投稿中である。
|
Research Products
(1 results)