2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 陽香 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘリウム3-ヘリウム4 / 量子液体 / 超音波 / 界面 |
Research Abstract |
前年度までの実験で、3^He-4^He混合液相分離界面の成長係数には、hydrodynamic領域が存在すること、そして低温になるとともにballistic領域に移行することが分かった。 今年度は、前年度よりもさらに低温域となる2mK付近までの測定を行ない、ballistic領域での振る舞いを明らかにした。この領域では、成長係数は音波の周波数に依存せず、T^3に比例する。このballisticな領域についての理論がないので、現段階で考察するのはなかなか難しいが、次のように考えられると推測される。ballistic領域とは、音波の周期よりも緩和時間、τ、がずっと長い領域で、collisionlessな状態である。それゆえ界面近傍のc相中の3^He準粒子が、圧力変動によりd相領域に入ったとしても、d相中の粒子と衝突しないままc相中に戻ってくるというイメージがもてる。つまり音波によって、3^He準粒子が動いたとしても、c相にいるのか、d相にいるのかを感知していないことになる。これはphase-conversionが生じていない、つまり界面は成長しないことを意味する。したがって、界面が成長するためには、周波数に依存せず、準粒子間のcollisionが重要となるため、成長係数は1/τに比例すると予想される。さらに、phase-collversionがおきると、エントロピーが変化するため、それに伴う発熱、吸熱をバルク液体へ除去することが必要となる。そこで、成長係数がThermal conductivity, K,に比例するとすれば、トータルとして、成長係数は1/τ・K∝T^3となると予想される。 来年度は、さらに理論的考察を進め、論文にまとめる予定である。 また、界面の視覚化を実現するため、高速度カメラを用いた実験を試みている。 今年度は、まず1成分系である4^Heを用いた実験を行った。 来年度は、3^He-4'He混合液についての可視実験を行なう予定である。
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Research Products
(1 results)