2003 Fiscal Year Annual Research Report
経済物理学のよる円ドル為替市場の価格変動の解析、モデル化、予測
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03J03214
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐塚 直也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科・物質物理学専攻, 特別研究員(PD)
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Keywords | non-linear logit models / high frequency data / tick-by-tick data / the direction of price movement / conditional probabilities of the binary data / probabilistic structure / Akaike Information Criterion |
Research Abstract |
円ドル為替市場の価格変動について、最も時間間隔の短い高頻度データである取引毎のデータ(ティックデータ)の解析を行った。最近入手可能となったティックデータは、これまで解析されてきた日次データ等の低頻度データとは全く違う性質をもっており、現在注目を集めている。ティックデータの変動の上下運動方向性に着目することによって、価格変動自体の解析では捉えられない非自明な条件付確率構造の存在を示した。そして、その確率構造を再現するために、実務家の相場観とも整合する非線形に拡張したロジットモデルを提案した。また、研究課題である円ドル為替市場のデータだけでなく、他市場の高頻度データの解析も行っている。興味深いことに、円ドル為替市場データよりも偏りの強い確率構造が抽出されるデータも存在するなど新奇性のある結果が出始めており、今後も論文、学会発表など生産性のある結果が期待される。 発表に関しては、2つの国際会議American Physical Society Annual March Meeting 2004、Computational Finance 2004の審査を通過し、口頭発表をする予定である。それぞれ数理系、金融経済系の視点の異なる会議で研究が評価され、またそこでの反響を得ることは今後の研究の発展にも重要かつ有益である。その他の発表として、北海道大学で招待セミナーを行った。 さらに、ロンドン大学キングスカレッジにおいて研究打ち合わせを行った(6月30日〜11月24日)。ロンドンは実務家と研究者との相互交流が盛んであり、金融経済の科学的研究が世界的に先進している。ロンドンでの研究により、国際協力、共同研究、最新情報収集、また人脈形成を行った。情報収集のため銀行業界、学術業界の方々を招いて行う定期的なセミナーに参加した。人脈形成のため他国の研究者等とも議論を行った。今後もより高い水準の研究を目指し、同大学のグループとの共同研究を継続する予定である。そして、ロンドンでの活動も機会があれば是非挑戦したい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naoya Sazuka, Toru Ohira, Kouhei Marumo, Tokiko Shimizu, Misako Takayasu, Hideki Takayasu: "A dynamical structure of high frequency currency exchange market"Physica A. 324. 336-371 (2003)
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[Publications] Naoya Sazuka, Toru Ohira: "Non-linear logit models for high frequency currency exchange data"The proceedings of the computational finance 2004 (will be published in hard cover book form by WIT Press).