2005 Fiscal Year Annual Research Report
バナナ型分子におけるキラル強誘電液晶の自然分晶とキラリティの起源
Project/Area Number |
03J03275
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 伸博 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 液晶 / ソフトマテリアル / らせん構造 / 強誘電相 / 反強誘電相 / キラリティ / 自然分晶 / 有機エレクトロニクス |
Research Abstract |
本年度の研究においては、バナナ型液晶分子が形成するバナナ液晶相(B相)の常温固定化を目指して新規バナナ型液晶分子、並びに液晶高分子の合成を行うと共に、キラル強誘電液晶相の発現要因の特定について検討を行った。また、ヘテロ環の誘電特性を生かした有機デバイスの作製も行った。以下にその主な結果を示す。 ・オキサジアゾールおよびチオフェン環を含むバナナ型液晶分子の合成および構造決定 ヘテロ環をベントコアに含むバナナ型液晶分子を合成し、それらの液晶分子が形成する液晶相の構造をDSC測定、X線回折法、固体NMR法等により決定した。オキサジアゾール環をベントコアにもつバナナ型分子は約180度以上の高温度領域においてスメクチック相を示し、このスメクチック相はキラルならせん構造を液晶相内に含むB4相であることを円二色性スペクトル並びに偏光顕微鏡観察において確認した。また、固体NMR法により、キラリティーが発生する要因は分子のねじれコンフォメーションに依存しないことを確かめた。 ・全エステル結合型バナナ型分子の合成ならびに相構造決定 ヘテロ環ならびにベンゼン環を全てエステル結合で連結し、さらに非対称な構造をもたせたバナナ型液晶分子を合成し、物性評価を行った。これらの非対称バナナ型分子は比較的低温度領域においてスメクチック相を示した。また、これらのスメクチック相は三角波印加によって液晶ドメインの反転を示したことから、強誘電性を示す液晶相であることを確認した。この強誘電を示すスメクチック相においてはバナナ型分子がチルトしており、液晶相内においてキラリティーを生み出していることを偏光顕微鏡観察ならびにX線回折法により確認した。 ・オキサジアゾールおよびチオフェン環を含む液晶高分子の合成および構造決定 オキサジアゾール環をベントコアに含む主鎖型液晶高分子を融解重縮合法、ポリチオフェンを即鎖にもつ側鎖型液晶高分子を開環重合法により合成し、構造決定ならびに物性評価を行った。これらのヘテロ環を含む液晶高分子においてB相は確認されなかったが、共に良好な電子または正孔移動度を示し有機デバイスへの応用に有用であることを確認した。
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