2003 Fiscal Year Annual Research Report
胚誘導現象における、細胞外シグナルと細胞内因子の転写因子を介した統合メカニズム
Project/Area Number |
03J03285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 潤 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 初期胚発生 / プロモーター / FGFシグナル / 遺伝子導入 / ホヤ / Ets転写因子 / 中胚葉パターンニング / macho-1 |
Research Abstract |
原索動物であるホヤ胚の胚発生において細胞外シグナルのFGFと細胞内因子であるmacho-1が中胚葉のパターニングに関わっている事が明らかにされつつある。しかし、これらの因子がどのように分子的に相互作用して中胚葉のパターニングに関わっているかは現在わかっていない。そこで、本研究ではこれら2つの因子がどのような仕組みで協調的に働くかに着眼して解析している。 まず、FGFシグナルの下流にあるEts転写因子のDNA結合ドメインに転写抑制化ドメインEnRを融合させたmRNAを作成し、顕微注入し影響を調べたところ、筋肉と脊索の遺伝子マーカーの発現が抑制された。この事から、Etsがこれらの遺伝子の上流で直接、もしくは間接的に働いている事が示唆された。一方Ets転写因子に転写活性化ドメインVP16を融合させたmRNAは遺伝子マーカーの発現にあまり影響を与えなかった。この原因としてVP16が機能していない事が予想された。そこで、Etsのリン酸化サイトのスレオニンをアスパラギン酸に変異を導入し、活性化型Etsを作成し、解析を行っている。 さらに、Etsやmacho-1のターゲットとなる遺伝子のプロモーター上の応答領域を調べるために、Brachyury(脊索)、Tbx6(筋肉)遺伝子のプロモーターをLacZにつなぎ、それを順次デレーションしたコンストラクトを複数作成した。また、新規にCaトランスポーター(筋肉)のプロモーター配列もクローニングした。間充織形成に重要な働きをし、Etsとmacho-1の影響を受けていると考えられるTwist-like遺伝子のクローニングも試みている。 これらのプロモーターの解析を容易に行う為に、マボヤ受精卵にエレクトロポレーションでDNAを導入する方法を確立した。これにより、一度に多量のホヤ胚に遺伝子導入して解析する事が可能になった。現在macho-1とFGFシグナルに応答する配列を解析中である。
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