2004 Fiscal Year Annual Research Report
胚誘導現象における、細胞外シグナルと細胞内因子の転写因子を介した統合メカニズム
Project/Area Number |
03J03285
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 潤 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 初期胚発生 / プロモーター / FGFシグナル / ZIC / ホヤ / Ets / 中胚葉パターンニング / macho-1 |
Research Abstract |
原索動物であるホヤ胚の発生において、細胞外のFGFシグナルと細胞内因子であるmacho-1やZicが誘導的細胞間相互作用を介した中胚葉のパターニングに関わっている。本研究ではこれらの因子がどのように分子的に相互作用して機能するのかを調べるために、ターゲット遺伝子の発現メカニズムついて解析している。まず、FGFシグナル下で脊索特異的に発現するBrachyuryのプロモーターを初期胚(110細胞期)で調べた。すると、レポーターのmRNAは主に予定脊索割球と予定神経索割球で発現し、その発現には-398/289bp領域と-170/150bp領域が必要であった。この発現パターンはZicの発現と重なっており、必要領域にはZicの結合しうる配列が存在した。そこで、モルフォリノアンチセンスオリゴ注入によるZicの機能阻害下で調べたところ、レポーターの発現が抑制されたので、この発現にはZicが必要であることがわかった。しかし、FGFシグナルの阻害剤であるMEKインヒビターで処理をした胚でもこの発現はみられることから、これらの領域だけではFGFに応答した本来のBrachyuryの発現を反映していないことがわかった。この結果から、何らかの発現を抑制するメカニズムの存在が予想されたので、さらに上流を解析したところ、FGFシグナルに応答する領域は-897/499bp領域に存在することがわかった。-170/150bp領域を欠いた条件下でも-897/499bp領域さえあれば脊索でレポーターが発現する。しかし、この条件下でMEKインヒビター処理を行うと脊索での発現が消失した。-897/499bp領域にはFGFシグナルの下流転写因子のEtsの結合しうる配列が複数存在することから、これらの配列に着目して現在解析を進めている。また今後、直接これらの転写因子がプロモーター上に結合するかを生化学的に調べていく予定である。同様にして、macho-1とFGFシグナルの制御をうけるTbx-6のプロモーターも解析を始めている。
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