2003 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導体ヘテロ接合によるオーダーパラメータの研究及びジョセフソン磁束の可視化
Project/Area Number |
03J03304
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今和泉 卓也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高温超電導体 / 薄膜作製 / 接合作製技術 / π接合 / 量子デバイス開発 / 超伝導オーダーパラメータ対称性 / ヘテロ接合 |
Research Abstract |
高温超伝導体のオーダーパラメータ対称性を検証するために、金属超伝導体-高温超伝導体コーナー接合の作製を試みた。金属と高温超伝導体との接合作製は、あまり行われておらず、作製過程の確定的な知見もいまだに得られていない。そこで、今年度は金属超伝導体と高温超伝導体の接合作製過程の最適化について、主に力を入れて研究を行ってきた。高温超伝導体として、Bi-2212を選んだ。Bi-2212の場合、水に比較的強く、この接合系は強い2次元性を反映することが期待される。その反面、酸素の制御が難しく、これまで作製プロセス途中で劣化しがちだったが、薄膜作製時に酸素をやや過剰にドープすること、メタルマスクを用いるという工夫を施すことで、作製過程を経ても、超伝導転移温度が80K以上の接合を得ることができた。この値は、薄膜としては非常に優れた値である。また、良質な接合抵抗を極力抑えることが、目的達成のために不可欠であるが、金属蒸着前に、Bi-2212を極微量、再蒸着させ、かつ試料温度300〜350℃で金属を蒸着することで、接合の抵抗を数Ωと劇的に抑えることができた。特に、前者の再蒸着過程が抵抗減少に重大な効果を与えていることも分かった。 さらに、以前から行ってきた異種高温超伝導体接合の研究についても、バリアパラメータが低いような接合データについて、新たな考察を行い、J.Low Temp.Phys.に掲載された(1^<st> author)。 また、それとは別に作製されたLSCO/Ag接合についても、検証を行った。ゼロバイアスコンダクタンスピークが現れ、LSCOもd波対称性だと示唆されたが、コンダクタンスピークの大きさの温度依存性についても、理論計算を行い、実験結果とほぼコンシステントな曲線が得られた。これらの結果を、Physical Review Bに投稿し、掲載された(2^<nd> author)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Imaizumi, T.Kawai, T.Uchjyama, I.Iguchi: "Tunnel junctions using different high-Tc superconductors"J.Low Temp.Phys.. vol.131no.5/6. 809-813 (2003)
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[Publications] T.Miyake, T.Imaizumi, I.Iguchi: "d-wave anisotropy and coexistence of the superconducting gap and pseudogap in La_<2-x>Sr_xCuO_4/Ag junctions"Phys.Rev.B. vol.68. 214520-1-214520-5 (2003)