2003 Fiscal Year Annual Research Report
安定核領域から遠く離れた中性子過剰核の磁気モーメントと核構造
Project/Area Number |
03J03327
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀田 大輔 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中性子過剰核 / 磁気モーメント / 殻模型 / 窒素同位体 |
Research Abstract |
入射核破砕反応から生成されるスピン偏極したRIビームを用いて、β-NMR法による中性子過剰核^<19>Nの基底状態のg因子測定を行った。g因子は、原子核の磁気モーメントとスピンを対応づける量であり、原子核の量子的な構造を如実に反映している。実験の結果、^<19>Nのg因子は99.7%の確率で|g|=0.58〜0.64の領域に存在することが分かった。このg因子領域が他の窒素同位体のg因子;|g(^<15>N)|=0.57、|g(^<17>N)|=0.70にほぼ一致していることから^<19>Nの基底状態のスピン・パリティはこれら窒素同位体と同様に1/2^-であることを実験的に示すことに成功した。実際、殻模型による理論値も^<19>Nのスピン・パリティが1/2^-であることを支持する。一方、中性子の増加に伴う^<15>N、^<17>N、^<19>Nの|g|因子の系統的推移は、理論と異なる結果となった。殻模型計算によると、g因子は中性子数の増加と共に単調に増加する傾向を示した。しかし実験値の推移は、^<17>Nまではその傾向が観測されたが、^<19>Nでは減少することが分かった。殻模型の詳細な分析から、殻模型計算に決定的な役割を担う二体残留相互作用について、特に核子スピン方向の反転(M1遷移)を引き起こす相互作用がg因子の増加傾向と強く関連していることが分かった。より定量的な比較のため、今後追実験を行い^<19>Nのg因子精度を上げる必要がある。本実験ではg因子測定と同時に^<19>Nの半減期測定も行った。測定値(T_<1/2>=298±13ms)は^<19>Nの二つの互いに異なる文献値の片方と良く一致しており、精度の高い半減期の決定に寄与することができた。これらの成果を、ロシアと日本で開催された国際学会において口頭発表した。
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Research Products
(1 results)