2004 Fiscal Year Annual Research Report
ピコ秒時間分解X線回折による衝撃圧縮下の圧力誘起相転移ダイナミクス
Project/Area Number |
03J03328
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸村 浩明 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 圧力誘起相転移 / 時間分解X線回折 / フェムト秒レーザ / 構造ダイナミクス |
Research Abstract |
CdSは静的もしくは衝撃圧縮法により加圧することで、約3GPaにおいてウルツ鉱型構造から岩塩型構造へ転移する。この転移時間はマイクロ秒以下と短いものであるが、さらにこの転移においては2段階で転移することが指摘され、構造が未確認の中間相があるとされている。そこで本研究では、CdSにレーザを用いた衝撃圧縮により高圧力をかけ構造相転移を起こし、構造変化の様子を、金属(Cu)に超短パルスレーザを照射することで発生する特性X線を用い、装置の分解能である10ピコ秒間隔で測定した。 対象物質に対する研究に関連して、超短パルス高強度レーザの衝撃圧縮用ドライバーとしての特性評価、特に圧力、空間的定常性、圧力保持時間の評価が必要不可欠である。そこでまず、半導体Siに集光照射したときの、衝撃波発生および伝播過程の測定を時間分解X線回折法により行い、レーザ照射によって引き起こされる過渡的高圧力状態の特性を評価した。試料としてSi単結晶を使用し、波長780nmパルス幅300psのTi : sapphireレーザをレーザ照射強度14〜54GW/cm^2で照射した。測定した時間領域は最大で数ナノ秒とした。17GW/cm^2では12GPaに対応する一軸方向に6%の圧縮が実現した。この6%の圧縮はウゴニオ弾性限界2.6%をはるかに超える圧縮状態であったが、直接的な証拠として弾塑性転移の様子を得ることはできなかった。さらに照射強度を増やしても、それ以上に一軸方向には圧縮しなかったが、一方で回折線の不可逆なブロード化がおき、これは衝撃圧縮中にSi結晶の完全性が崩れ微細なモザイクが形成されることによるとわかった. さらに、CdSを試料としたレーザ衝撃実験を行った、試料の大きさが十分でないこと、X線の浸透深さが十分でないために、きわめてS/N比の悪い実験しか行えず、圧縮状態にあることを調べることができなかった。
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