2003 Fiscal Year Annual Research Report
ケーラー多様体上の非線形偏微分方程式の可解性と幾何学的不変式論の関係について
Project/Area Number |
03J03340
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐野 友二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケーラー・アインシュタイン計量 / 幾何学的不変式論 / 安定性 / 定スカラー曲率 |
Research Abstract |
本研究はベクトル束の小林-ヒッチン対応の多様体版である「幾何学的不変式論とケーラー多様体の標準計量の存在が同値であるか?」という予想の解決をテーマとしている。本年度は、この予想についての研究で満渕氏の論文の中で重要だと指摘されているツァンの論文を通して多様体の安定性として既に良く知られているチャウ安定性とツァンが定義したチャウノルムについての関係を研究した。これは代数幾何的な対象であるチャウ点と複素幾何的な対象である二木不変量を結び付ける意味で大きな役割を果たしている。しかし、彼の結果は代数幾何的でわかりにくかったので、それらをより微分幾何的にわかりやすく書き換えた。その結果を用いて、完全交叉形のチャウ安定性についての必要条件を導きだした。チャウ安定性の判定法はマンフォードによって既に知られているが、この結果は、超平面のときのヒルベルト-マンフォードの判定法の余次元が1より大きいときへの拡張と位置付けられ、マンフォードの結果とは独立した形で示されている。さらにその結果から、チャウ安定とは別の安定性であるヒルベルト安定性とチャウ安定性の関係についても結果を得た。これらの結果はプレプリントにまとめて、現在、海外雑誌に投稿・査読中である。この研究結果をもとに、定スカラー曲率を持つケーラー計量の存在から漸近的チャウ安定性を示したドナルドソンの論文を研究中である。現在、この研究を通して、漸近的チャウ安定性の判定条件、とくに十分条件を見つけたいと思っている。(漸近的チャウ安定性の十分条件については、未だ良く知られていない。)
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Research Products
(1 results)