2003 Fiscal Year Annual Research Report
マントルダイナミクスの解明に向けた大容量高圧発生技術の開発
Project/Area Number |
03J03356
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丹下 慶範 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 下部マントル / 超高圧実験 / マルチアンビル装置 / 焼結ダイヤモンドアンビル |
Research Abstract |
今年度は当初の研究計画におおむね沿った成果が得られた。第一に14mm角焼結ダイヤモンドアンビルを用いた高圧発生技術を確立した。マルチアンビル装置に掛ける荷重を試料部へと伝える圧力媒体、ガスケットの材質、サイズを最適化することで40GPa以上の高圧力を安定して発生させることを可能とした。第二に、先に述べた試料設定を用いて室温におけるジルコニウムのω-β相転移のその場観察実験を行った。SPring-8放射光を用いたX線回折実験による圧力決定と、ジルコニウムの抵抗測定を同時に行うことにより相転移圧力を精密に決定した。この結果は室温の圧力較正点として有用なものである。 第三に高温高圧発生用のセルアッセンブリーの開発を行った。室温の実験に用いたセルアッセンブリーにランタンクロマイトヒーターを組み込み、1800℃程度の温度を定常的に発生させることを可能とした。高温高圧実験時は1500±1℃で30分間の保持が可能と、温度発生についても非常に高い安定性を実現した。第四にこの高温高圧発生用アッセンブリーを用いてMgO-FeO-SO_2系における相平衡実験を行った。SPring-8におけるその場観察と回収試料のEPMA分析、XRD分析によってペロブスカイトへの鉄の最大固容量と、共存するマグネシオウスタイトの鉄含有量を決定した。実験温度は1500℃、圧力範囲は27、35、43GPaと幅広くとっており、マルチアンビル装置を用いた実験としては異例といえる。
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