2004 Fiscal Year Annual Research Report
動的キラルな配位子を有するラセミ触媒を用いた不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
03J03397
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相川 光介 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不斉合成 / 不斉触媒 / 不斉活性化 / tropos / atropos / 不斉制御 / ロジウム / エン型環化反応 |
Research Abstract |
触媒的不斉合成を用いたキラルテクノロジーでは、光学的に純粋な不斉触媒を用いることが常識とされている。当然のことながら、ラセミ触媒を用いるとラセミ生成物しか得られない。これに対して、我々はラセミ触媒に少量のキラルな不斉活性化剤を加えることで高い不斉収率を達成する"不斉活性化法"の概念を提唱している。しかしながら、通常のatropisomerismなラセミ配位子(atropos : ‘a' meaning ‘not' and ‘tropos'meaning ‘turn'in Greek)を有するラセミ触媒を用いるとジアステレオマー錯体の生成は回避できないため、非常に限られた系にしかこの方法論は適用できなかった。この問題を克服するために、触媒的不斉合成に用いることさえなかったアキラルである動的キラル(tropos)な配位子を導入することを考案した。このtroposな配位子を有するラセミ触媒はジアステレオマー錯体間に動的平衡が存在するため、不斉制御を通して系内で単一のジアステレオマー錯体に収束させることができる。そうした観点から本研究は、本来不斉触媒として用いられない様々なtroposな配位子を有するラセミ触媒を不斉活性化を通して不斉触媒として用い、高い活性とエナンチオ選択性を達成することを目的としている。その研究の一環として、これまでtroposなBIPHEP(biphenylphosphine)配位子を有するRu, Pd錯体の不斉制御と、その不斉触媒反応への応用に成功している。今年度は、中心金属として周期表でRuとPdの間に位置するRhに注目し、そのBIPHEP-Rh錯体の動的挙動の検討と不斉エン型環化反応への応用研究を行った。その際、室温を基準にして中心金属によって全く異なる結果が得られた。即ち、Ruの場合は、すべての場合でtropos、Pdの場合はatroposな性質を持つ。これに対してRhはこの中間の性質、即ち電子供与性の高いaliphaticなDPEN錯体ではatroposな性質を持つのに対して、aromaticなDABN錯体、diamine-freeの錯体ではtroposな性質を持つということを明らかにした。また、その中心金属の特徴を生かし不斉エン型環化反応では最高96%eeという高エナンチオ選択性を達成した。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Enantioselective spiro ene-carbocyclization of 1,6-enynes catalyzed by tropos rhodium(I) complex with skewphos ligand2004
Author(s)
Mikami, K, Yusa, Y, Hatano, M, Wakabayashi, K, Aikawa, K
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Journal Title
Tetrahedron 60
Pages: 4475
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[Journal Article] Highly enantioselective spiro cyclization of 1,6-enynes catalyzed by cationic skewphos rhodium(I) complex2004
Author(s)
Mikami, K, Yusa, Y, Hatano, M, Wakabayashi, K, Aikawa, K
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Journal Title
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