2004 Fiscal Year Annual Research Report
固体^<19>F-NMR法を用いたH-F核間距離決定法の開発とフッ素化高分子への適用
Project/Area Number |
03J03398
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
相見 敬太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリイミド / ^<19>F NMR / CPダイナミクス / パッキング / Dipolar Oscillation / 核間距離 / 蛍光 / 電荷移動 |
Research Abstract |
含フッ素ポリイミド(PI)の最終イミド化温度(T_<cure>)の違いによる凝集状態の変化を明らかにすることを目的として、芳香環上の水素を重水素置換したジアミンと、フッ素基を導入し水素基を持たない酸無水物を用いて含フッ素PIであるP2FDA/DMDBを合成し、励起・蛍光スペクトル及び固体^1H→^<19>F交差分極(CP)/マジック角回転(MAS)NMR法におけるダイナミクスの解析を行った。 その結果、T_<cure>が高いほど、PIフィルムの屈折率が高く、凝集状態が密であることが示された。また、固体^1H→^<13>C CP/MAS NMRスペクトルにおいて全てのピークの化学シフト及び線幅がT_<cure>によらず同一であったこと、励起・蛍光スペクトル測定において酸無水物部分の局所的な励起による蛍光のピーク強度にほとんど変化がなく、電荷移動性のピーク強度にのみ著しい増加がみられたことから、T_<cure>の上昇に伴うコンホメーション変化はなく、凝集状態が密になることがわかった。 一方、^1H→^<19>F CP曲線の初期段階に観測された磁化交換による信号強度の振動現象の解析から、T_<cure>が高いほど^1H-^<19>F間の双極子カップリング定数D_<HF>の値の減少が示された。^<13>C NMR測定から主鎖コンホメーションは変化していないと考えられるため、D_<HF>の減少は分子間での酸無水物とジアミン間距離の増加に対応する。分子鎖はT_<cure>が高いほど密に凝集していることが示されていることから、T_<cure>が高いほど酸無水物同士あるいはジアミン同士が重なる「PLPスタッキング」の割合が高まると考えられる。さらに、原子間距離測定法として多数の実施例があるRotational Echo Double Resonance法を用いて、^<19>F核とメチル基^<13>C核間の距離変化を測定した結果、T_<cure>が高い方が両核間距離が長いことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)