2003 Fiscal Year Annual Research Report
Tri-Phaseエピタキシー手法による酸化物単結晶薄膜の作製と新機能探索
Project/Area Number |
03J03422
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 竜太 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Tri-Phaseエピタキシー / コンビナトリアル合成 / 3成分組成傾斜薄膜 / Bi_4Ti_3O_<12> / フラックス |
Research Abstract |
酸化物の新機能材料はますます多成分化し、薄膜の作製も難しくなる一方である。例えば高温超伝導体RBa_2Cu_3O_<7-d>(RBCO)の薄膜をスパッタ法やパルスレーザー堆積(PLD)法でエピタキシャル薄膜を作製しても、転位、析出物を多く含んでいるのが現状である。一方、液相エピタキシー(LPE)法を用いれば、高品質な薄膜を作製することができるが、膜厚の制御が難しくデバイス作製には適していない。そこでLPE法とPLD法の長所を組み合わせたTri-Phaseエピタキシー(TPE)法を開発し、これまでにR123の単結晶薄膜の作製に成功した。本手法はバルク単結晶を作製する方法の一つであるフラックス法に基づいており、高温超伝導体だけでなく、強誘電体(Bi_4Ti_3O_<12>)や非線形光学材料(BaB_2O_4)など他の酸化物材料の薄膜化にも応用できる可能性を持っている。本研究では、そのための新しいフラックス材料の探索や薄膜作製条件最適化にコンビナトリアル薄膜技術を適用し、TPE法を用いた複酸化物のエピタキシー技術の確立を目的とする。 本年度は新しいフラックス材料を見つけるためのコンビナトリアル装置の開発、強誘電体のBi_4Ti_3O_<12>薄膜のTPE合成を重点に研究を行った。以下に詳細について記す。 (1)コンビナトリアル手法を利用したフラックス材料の探索 フラックス材料として自己フラックスが用いられることが多い。しかしながら、産業ベースでより大きな単結晶を作製するにはYIGで用いられているPb-B-Oなどのような不純物をフラックスとして用いることも必要である。しかしながら不純物フラックスを選択するための一般則はなく、適切なフラックス材料の選択は困難を要する。フラックス材料の探索を高速かつ系統的に行うべく、2成分系のコンビナトリアル装置を3成分系のシステムへ拡張し、実験の効率化を図った。 (2)強誘電体のBi_4Ti_3O_<12>薄膜のTPE合成 TPE手法を用いてBi_4Ti_3O_<12>のバルク単結晶を作製することを試みた。Bi_4Ti_3O_<12>のバルク単結晶はBi_2O_3がフラックス材料に使用されており、Bi_4Ti_3O_<12>の単結晶薄膜の合成においてもBi_2O_3をフラックスにして実験を行った。このように作製されたBi_4Ti_3O_<12>薄膜は原子レベルで平坦であり、結晶構造の半ユニットに相当するステップ構造が観察され、高品質な薄膜を作製することができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] R.Takahashi, Y.Matsumoto, H.Kohno, M.Kawasaki, H.Koinuma: "Fabrication of Nd_<1-x>Ca_xBa_2Cu_3O<7-d> (x=0〜0.3) single crystalline films by Tri-Phase Epitaxy"Journal of Crystal Growth. 260. 308 (2004)
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[Publications] R.Takahashi, H.Kubota, M.Murakami, Y.Yamamoto, Y.Matsumoto, H.Koinuma: "Design of Combinatorial Shadow Masks for Complete Ternary Phase Diagramming of Solid State Materials"Journal of Combinatorial Chemistry. 6. 50 (2004)
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[Publications] R.Takahashi, H.Kubota, T.Tanigawa, M.Murakami, Y.Yamamoto, Y.Matsumoto, H.Koinuma: "Development of a New Combinatorial Mask for Addressable Ternary Phase Diagramming"Applied Surface Science. 223. 249 (2004)
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[Publications] Ryota Takahashi, Yuji Matsumoto, Hideomi Koinuma: "Recognition of the Atomic Termination Layer in Perovskite Oxide Substrates by Reflection High Energy Electron Diffraction"Japanese Journal of Applied Physics. 42. L289 (2003)
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[Publications] 鯉沼秀臣, 高橋竜太: "ナノ・IT時代の分子機能材料と素子開発"NTS出版. 8 (2004)