2004 Fiscal Year Annual Research Report
Tri-Phaseエピタキシー手法による酸化物単結晶薄膜の作製と新機能探索
Project/Area Number |
03J03422
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 竜太 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Tri-Phaseエピタキシー / コンビナトリアル合成 / 3成分組成傾斜薄膜 / Bi_4Ti_3O_<12> / フラックス |
Research Abstract |
酸化物の新機能材料はますます多成分化し、薄膜の作製も困難になる一方である。例えば高温超伝導体RBa_2Cu_3O_<7-d>(RBCO)の薄膜をスパッタ法やパルスレーザー堆積(PLD)法でエピタキシャル薄膜を作製しても、転位、析出物を多く含んでいるのが現状である。この問題を解決するために我々のグループではバルク単結晶プロセスのフラックス法を薄膜プロセスに応用したTri-Phaseエピタキシー(TPE)法を開発し、RBCOの単結晶薄膜の作製に成功した。本手法は高温超伝導体だけでなく、強誘電体(Bi_4Ti_3O_<12>)など他の酸化物材料の薄膜化にも応用できる可能性を有している。本研究では、そのための新しいフラックス材料の探索や薄膜作製条件最適化にコンビナトリアル薄膜技術を適用し、TPE法を用いた複酸化物のエピタキシー技術の確立を目的とする。 昨年度は新しいフラックス材料を見つけるためのコンビナトリアル装置の開発、強誘電体のBi_4Ti_3O_<12>薄膜のTPE合成を重点に研究を行ってきた。本年度はこの新しいコンビナトリアル装置を用いて、強誘電体のBi_4Ti_3O_<12>薄膜成長のためのフラックスを探索した。その結果、新しいフラックスを発見することができ、強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>の単結晶薄膜、配向制御ナノプレート構造の作製に成功した。その詳細について以下に記す。 (1)TPE手法による強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>単結晶薄膜の作製 3成分系のコンビナトリアル手法を用いて、強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>の単結晶薄膜成長のためのフラックス材料を探索した。そのスクリーニングの結果、新しいフラックス材料Bi-Cu-Oフラックスを発見することができた。このフラックス材料を使用することで、原子レベルで平坦、大きなグレイン、高い絶縁性を有するBi_4Ti_3O_12単結晶薄膜を作製することに成功した。 (2)フラックスエピタキシー手法による強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>薄膜の配向制御とそのナノプレート構造の作製フラックスによって、強誘電体Bi_4Ti_3O_<12>薄膜の配向を制御することを試みた。フラックスの選択にはコンビナトリアル3成分組成傾斜薄膜法を用いた。その結果、配向制御を促進させるVO_xフラックスを発見することができた。このフラックスはBi_4Ti_3O_<12>の配向を制御するだけでなく、結晶構造の異方性に基づく結晶成長を促進させ、(110)配向のナノプレート構造を作製することを可能にした。
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Research Products
(5 results)