2003 Fiscal Year Annual Research Report
sp^3炭素-水素結合活性化を契機とする炭素骨格構築法の開発
Project/Area Number |
03J03463
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山辺 北斗 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロジウム / 炭素-水素結合活性化 / 1,4-ロジウム移動 / インダノン |
Research Abstract |
1,4-金属移動反応は,アルケニル(アルキル)金属種の金属部位の近傍にある炭素-水素結合活性化を経て,金属部位が1位と4位の間を平衡的に移動する反応であるが,近年,これを用いた有機合成反応の開発が活発に行われている。特に金属としてロジウムを用いた例は少なく,その反応性など興味深い点が多い。筆者はこの1,4-ロジウム移動を用いた有機合成反応の開発を行った。 アルキニルフェニルケトン類に対し,RhH(PPh_3)_4を化学量論量作用させたところ,アルキン部位とアリール基のオルト位で環化が進行したインダノン誘導体が得られた。これはロジウムヒドリド錯体がアルキノン部位にヒドロロジウム化を起こした後,近傍に存在するアリール基のオルト位へ炭素-水素結合の酸化的付加を伴う1,4-ロジウム移動を起こし,生じたアリールロジウム種が分子内のα,β-不飽和ケトン部位に共役付加することにより得られたものと考えられる。しかしながら,本反応ではロジウム種は環化後にRh(OH)(PPh_3)_nとなるため,必然的に化学量論量以上のロジウム錯体を必要とする。各種検討を行った結果,上記のアルキニルケトン類を還元した1-アリーループロパ-2-イン-1-オール類に対し,触媒量の塩基,[Rh(cod)_2](BF_4)およびP(4_tolyl)_3を作用させたところ,良好な収率でインダノン誘導体を与えた。これは,環化後に生じたRh(I)錯体が基質であるアルコールと反応しロジウムヒドリド錯体を再生することにより触媒的に環化反応が進行したものと考えられる。 このように対応するアルデヒドとリチウムアセチリドとの反応で容易に得られる1-アリーループロパ-2-イン-1-オール類に対し,触媒量のロジウム錯体を作用させることによりインダノン骨格を構築できることを見出した。
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