2003 Fiscal Year Annual Research Report
1分子イメージングによる酵母プリオンの線維形成とその干渉因子の解析
Project/Area Number |
03J03471
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 雄嗣 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プリオン / アミロイド / 分子シャペロン |
Research Abstract |
プリオンとは,タンパク質が正常型から異常型に構造変換する事によって伝播する特殊な感染因子である。 報告者は,酵母由来のプリオン性タンパク質(酵母プリオン)の一つであり,プリオンのモデルタンパク質として広く用いられているSup35NMタンパク質を用いて研究を行っている。既に,異常型プリオンタンパク質によるアミロイド線維(プリオン線維)の形成と構造変換との因果関係に着目して解析を行ったところ,「プリオン線維自体が正常型プリオンタンパク質の構造変換を触媒しつつ線維成長する」という知見を得ている。しかし,効率的な増殖をするためには成長した線維が何らかの形で断片化する必要があると考えられた。 In vivo解析から,酵母細胞中の分子シャペロンHsp104の発現レベルが,酵母プリオンが引き起こす表現型の伝播効率を左右している事がわかっている。報告者はこの現象に着目し,Hsp104が酵母プリオン線維の断片化に関与しているのではないかと考え,Sup35NM線維との相互作用の解析を試みた。報告者は,Sup35NM線維の断片化を検出するための実験型を新たに構築した。まず,末端付近のみがビオチンで修飾された蛍光Sup35NM線維を作る。これをストレプトアビジン修飾された常磁性ビーズに結合させる。これに酵母の細胞抽出液やHsp104を加えて反応させた後,磁気分離を行う。もし,線維の断片化が起こっているなら,磁性ビーズを除いた後の上清にはSup35NM線維の断片が放出されているはずである。これをウェスタンブロットや蛍光測定により検出する。実験の結果,野生株の酵母細胞抽出液では線維の断片化が検出され,Hsp104欠損株の細胞抽出液およびHsp104単独では検出されなかった。これは,Hsp104がSup35NM線維の断片化に,十分ではないが必要な因子である事を示すものであった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nicolas Fay, Yuji Inoue, Luc Bousset, Hideki Taguchi, Ronald Melki: "Assembly of the Yeast Prion Ure2p into Protein Fibrils Thermodynamic and Kinetic Characterization"The Journal of Biological Chemistry. 278(32). 30190-30205 (2003)