2005 Fiscal Year Annual Research Report
弾性表面波モータによるサブナノステップトラッキング型ステージの研究
Project/Area Number |
03J03515
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
重松 隆史 東京工業大学, 大学院・総合理工研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小型アクチュエータ / 超音波モータ / MEMS / 摩擦駆動 / コンタクトメカニクス / トライボロジー / 弾性表面波 |
Research Abstract |
弾性表面波モータの摩擦駆動のダイナミクスを解明するために昨年度に行った摩擦駆動面での垂直・水平方向の変位の測定結果に対して,コンタクトメカニクスの考え方を用いることで摩擦駆動により発生した力を推定する手法を提案した.この手法を用いることで,摩擦駆動の詳細に関してより多くの知見を得ることが出来た.水平方向への力は原理的に垂直抗力に摩擦係数をかけた最大摩擦力以上発生しないが,コンタクトメカニクスの手法で測定結果の解析を行うとそれ以上の力となっていることが分かった.摩擦力以上の力は物理的に発生しない為,1摩擦駆動が機械的共振と関連している,2.摩擦係数は以前に報告されている値よりも大きい,3垂直方向の力は機械的な変形のみで発生するのではなくその他の現象による追加の力がはたらいている,という3つの可能性が考えられた.1つ目の可能性について,接触面の機械的な応答を動的なコンタクトメカニクス解析を行うことで検討し,共振が生じていないことからこの可能性ではないことを示した.2つ目の可能性について,さまざまな摩擦駆動面の形状を有するスライダとステータ間の摩擦試験を行い,摩擦係数はスライダの表面形状により変化する結果を得た.この結果は3つ目の可能性の機械的な変形以外の力がはたらいているため,同じ垂直方向の負荷の条件では等価的に摩擦係数が増大しているように測定されると考察し,接触面間の静電力等の相互作用について検討すべきとの方針を得た.相互作用のメカニズムはまだ明らかとなっていないが,透過的に摩擦係数が大きな値となっていると想定することで,摩擦駆動面での変位の測定結果を摩擦駆動モデルで十分にシミュレートすることが出来た.この結果を用いることでより高精度の摩擦駆動モデルが実現でき,今後の設計に役立てることができるようになった.
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Research Products
(1 results)