2003 Fiscal Year Annual Research Report
弾性表面波モータによるサブナノステップトラッキング型ステージの研究
Project/Area Number |
03J03515
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
重松 隆史 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サブナノメートル / ステップ駆動 / アクチュエータ / 超音波モータ / リニアモータ / 摩擦駆動 / 弾性表面波 / メカニクス |
Research Abstract |
弾性表面波モータのナノメートルからサブナノメートルのステップ動作時における特性を詳細に検討した.また最小動作が可能となる条件を実験的に求めることを試みた. 弾性表面波モータの100nm以下の範囲でのステップ駆動特性を動作実験から求めた.微小駆動時には,可動部中の弾性変形が機械的な出力に大きな影響を与えており,対象とする系は弾性変形要素により,2自由度振動系として振る舞うことを明らかにした.これより弾性変形による影響をできる限り排除し摩擦駆動の特性のみを評価するためには,摩擦駆動での変位量を評価すればよいことを示した.ステップ駆動時における可動部のメカニクスを,測定結果をふまえて検討しモデリングを行った.弾性表面波からスライダヘの摩擦力を介して推力が発生するまでの推力モデル,および推力により駆動される可動部の力学モデルを提示した.このモデルのパラメータ値を,駆動実験の結果から求める手法を提示し同定を行った. 弾性表面波モータの微小駆動限界を規定する要因について実験的に検討を行った.予圧,駆動電圧,駆動に用いるレイリー波振幅,スライダの突起パラメータという,弾性表面波モータの駆動特性に大きな影響を与える要素を変え,微小駆動特性とそれぞれの条件での微小駆動限界を実験的に求めた.その結果,レイリー波振幅を低振幅とすることが,微小動作を実現するために非常に重要であることがわかった. 最小0.5nmのステップ駆動を実現し,0.8nmのステップ動作を400ms間という長時間続けることができることを示した.弾性表面波モータの長ストロークかつサブナノメートルの高い動作分解能を示し,位置決め/トラッキング型ステージへの応用が可能なアクチュエータとして,高い能力を実証した.
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