2004 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙の元素合成による標準理論を超える素粒子モデルの検証
Project/Area Number |
03J03605
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Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
郡 和範 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビッグバン元素合成 / ダークマター / 超対称性理論 / 超重力理論 / インフレーション宇宙論 |
Research Abstract |
素粒子論の標準モデルを越える理論に登場する、重い新粒子の崩壊で生じる粒子のスペクトルのデータを初期宇宙の軽元素合成反応に取り込む大規模数値計算コードの開発に成功した。この計算コードを用い、宇宙が始まってから1秒程度の初期宇宙での軽元素合成のシミュレーションを行った。 得られた軽元素の理論値と観測値を比較する事により、初期宇宙での標準理論を越える素粒子モデルの現象の検証を行った。それにより、宇宙初期の、そうした新粒子の存在量に対して、厳しい制限を得た。特に素粒子論の超対称性理論の枠組みでは、新粒子であるグラヴィティーノの存在量を、初期宇宙に抑える何らかの機構が必要な事が示された。 得られた結果の意味は以下のようである。 1)初期宇宙のインフレーション後の宇宙の再加熱温度は典型的なグラヴィティーノ質量に対し、百万ギガ電子ボルト以下でなければならないことを示した。 2)その様な低い宇宙の再加熱温度を実現する、インフレーション宇宙のモデルを構成することは難しい、また、宇宙のバリオン数を作るシナリオに厳しい制限を与える。 これらの結果の一部はアメリカの物理学会が発行する、査読付き学術雑誌に出版された。 また、これらの成果は韓国、ソウル大学の素粒子論研究室セミナーにおいて、口頭発表された。
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Research Products
(3 results)