2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03628
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂尻 彰宏 大阪大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 内陸アジア / 出土文書史料 / オアシス社会 / 敦煌文献 / 漢文文書 / チベット文文書 / 農業・牧畜境界 / オアシス開発 |
Research Abstract |
本研究は,内陸アジアで発見された文書史料を用いてオアシス地域の社会構造を解明することを目的としている.研究の主な対象は,文書史料が大量に発見されている東トルキスタン・河西回廊のオアシス地域,とりわけ9-10世紀の敦煌を中心とするオアシス地域である.以下に本年度の具体的な研究活動・成果を示す. 従来,当該時代の敦煌オアシス地域の研究は,20世紀初頭に発見された敦煌文献中の文書史料を分析することよって大きく発展してきた.しかし,近年の文書史料の整理に伴って文書の再発見や新発見が相次ぎ,新史料の調査・分析と既知の古文書の再検討とが大きな課題となっている. そこで本年度は,パリ・フランス国立図書館,ロンドン・大英図書館,サンクトペテルブルグ・ロシア科学アカデミー東方学研究所サンクトペテルブルグ支所にの3つの主要所蔵機関を訪問し本研究の総仕上げとして集中的に文書史料の原物調査を行った.今回の調査では,チベット文文書と漢文文書とを中心に調査を行い,従来の写真・マイクロフィルム等による研究では明確にならなかった部分を,詳細なデータによって補うことができた.特に,一連の漢文文書の寸法,紙質,連接の状態を実際に調べることにより,多くの文書の作成・使用の過程を明らかにすることができた. これらの成果のなかでも,牧畜関係文書や訴訟文書の分析から,農耕と牧畜とが混じり合い,分ちがたく混在しているオアシス社会の実相を明らかにした.この成果は論文として論文集への掲載が決定している.また,訴訟文書や契約文書を利用してオアシスの開発に伴う移住問題や消費貸借がオアシス社会にもたらした大きな影響について検討した.これらの研究成果は口頭で発表した.
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Research Products
(1 results)