2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 修 大阪大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 建築許可 / 裁量 / 自治体間調整 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、土地利用秩序の個別的な実現手段である建築許可・その手続について研究を進めたが、特に、建築監督手続の緩和・迅速化の立法傾向の下での建築監督行政庁の各種の活動に係る裁量及び民間化への限界に焦点を当てた。 建築監督行政庁は鑑定機関の鑑定を求め得るが、この裁量的授権の行使は、建築監督行政庁に固有の人員による迅速な判断の可能性や鑑定機関に活用に伴う費用負担により限界が引かれる。相隣法への影響として、事前監督手続の緩和が事後監督の緩和をも意味するかという問題があり、近時、「意図された裁量」という概念がドイツで説かれている。法律により一定の決定を行うことが通常事例として意図されており、例外事例に限りその逸脱が許されるという。しかし、裁量行使の本質が具体・個別の利益状況における衡量にあるから、裁量行使の指針である法律の規範内容の実現・貫徹の強化を理由にする裁量行使の一般的な抑制は妥当でない。 建設法典2004年改正法により大親模小売商業施設に対する建設計画法が変化した。「国土整備の目標」は、従来の通説によれば、広域的な国家による計画でありゲマインデの計画高権に属さず、ゲマインデはこれを自らの権利を根拠づけるものとして援用できなかったが、2条2項の改正によりゲマインデによる援用が可能とされた。34条3項の改正は連担建設地域における大規模小売商業施設の個別具体の許容性についてかかる施設の「遠隔効果(Fernwirkung)」の審査を明文化した。理論的には国土整備における中心地構想の建設管理計画と個別具体段階の許可における考慮のあり方が、また実践上は相隣法類似の第三者保護性の程度や遠隔効果の審査に係るコスト等の負担が問題になっている。
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