2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03631
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 修 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 行政法 / 建設法 / 建築許可 / ドイツ |
Research Abstract |
研究対象であるドイツの土地利用秩序の個別的な実現手段である建築許可・その手続について、建築監督手続の緩和・迅速化の立法傾向の下での建築許可制度の変容に焦点を当てることで、建築許可及びその手続における考慮事項、手続における多様な主体の参加、相隣上の紛争解決としての争訟に与える影響を研究した。 研究の中心的課題である建築許可・手続における考慮事項について、緩和・迅速化の立法はいずれもその縮減を図っている。即ち、建築秩序法領域における技術的な規定への適合性に係る建築監督行政庁による審査が許可手続から外され、それに対応して、建築許可の法効力の一つである確認的効力の及ぶ客観的範囲も限定されている。 しかし、隣人保護規範性を有する規範に顕著であるが、相隣関係の調整をする機能を有する規範への適合性の審査が許可手続から外される場合には、それを代替する私人による審査が慎重に構成される必要がある。また、相隣関係を調整する規範で裁量判断を含むものへの適合性が建築監督行政庁によって審査されないことは、建築物の適法性の判断に係る責任を建築主に過剰に負わせることになる。 相隣法への影響として、確認的効力の及ぶ客観的範囲の限定の結果、公法上の救済手段として許可取消訴訟に代わって建築中止命令・除却命令等の発令を求める義務づけ訴訟が必要になるが、後者における行政裁量の存在の結果として、公法上の救済が従前より困難になる。それを解決するために除却命令等の事後介入に際しての行政裁量の裁判的統制や収縮が問題になっている。 なお、建設法典31条・34条に示される建設計画法上の建築物の許容性の要件について今年度十分に検討できなかった部分は次年度に行う。
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Research Products
(1 results)