2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03632
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 亜紀子 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本 / 近代 / 未成年者 / 民事判決原本 / 裁判 / 親権 / 司法 / 監獄 |
Research Abstract |
データの蓄積期間である平成15年度は、まず、上田市立図書館に赴き、同図書館が保管している小河文庫、また「上田郷友会月報」を調査し、刑事政策また社会政策の両分野において未成年者処遇に深く関与した小河の思想検討に必要な資料を収集した。小河は東京大学別課法学科で穂積陳重に出会い、監獄学をライフワークとすることとなり、万国監獄会議に参加し、監獄に関する最新の知識に身を以て触れることになる。それが彼の犯罪・不良未成年者処遇理論形成にどのような影響については次年度内の発表を目指して現在検討中である。 第二に、私は感化法対象者である「適当ノ親権ヲ行フ者若ハ適当ノ後見人ナクシテ」の親権がどのようなものであるかを考察する必要があり、そのためには、裁判の場で、親と子に関する問題がどのように判断されたのかを研究する必要があると考えている。そこで、大阪大学ならびに国際日本文化研究センターに保管されている民事判決原本データベースから、未成年者に関する判決を収集し、その活字化および検討に従事している。しかし、近代日本における「親権」ならびに親と子に関する法現象を検討するためには、また民事判決原本の検討に先立っては、まず当時の司法官ならびに裁判官を中心とする法曹がどのような人物であったかを知る必要がある。従って、本年度はまず『明治期 官員録・職員録』一八七一〜一八八六年の司法省・裁判所名簿整理を行った。その成果が研究発表の欄に掲げた「明治前期司法官資料に関する一考察(一)・(二・完)-『明治期 官員録・職員録』一八七一〜一八八六年の司法省・裁判所名簿整理を通じて-」である。なお、未成年者に関する民事判決原本検討については、現在従事しており、「明治民法施行前における親子関係に関する一考察-明治20年代までの民事判決原本の分析を手がかりとして-(仮題)」として発表する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田中亜紀子: "明治前期司法官資料に関する一考察(一)-『明治期 官員録・職員録』一八七一〜一八八六年の司法省・裁判所名簿整理を通じて-"阪大法学. 第53巻第5号. 289-312 (2004)
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[Publications] 田中亜紀子: "明治前期司法官資料に関する一考察(二・完)-『明治期 官員録・職員録』一八七一〜一八八六年の司法省・裁判所名簿整理を通じて-"阪大法学. 第53巻第6号. 253-277 (2004)