2004 Fiscal Year Annual Research Report
在宅障害老人の家族介護者におけるストレスに関する実証的研究
Project/Area Number |
03J03667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安部 幸志 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高齢者 / 介護 / ストレス / 介護負担 / 介護保険 / 社会福祉 / 介護サービス / サービスの質 |
Research Abstract |
本年度においては、在宅において介護が必要な高齢者を対象とした探索的調査を行い、介護ニーズについて検討した。具体的には、まず、在宅において高齢者や介護者の心理的適応を検討するために、従来使用されていた抑うつなどのネガティブ面の尺度ではなく、QOLの肯定的側面を測定するために、新たに尺度の作成を試みた。この「心理的安寧尺度」は、短時間でQOLの肯定的側面を測定することが可能であり、また非常に簡便な尺度でありながら、信頼性・妥当性も十分備わっている尺度である。今後は、この尺度を用いて高齢者および介護者の心理的適応を否定的側面・肯定的側面の双方から検討することが可能である。 また、本年度においては、介護サービスのあり方と介護者の心身の適応について、さらに詳細に分析・検討を行った。介護サービスの質については、様々な捉え方が考えられるが、本年度はサービスの種類における多様性を「サービスの質」の一側面として位置づけ、検討した。まず、離礁しているサービスを「ホームヘルプ」、「ショートステイ」、「デイサービス」に分類し、その組み合わせによって、介護者のストレスに差がみられるかどうか検討した。その結果、サービスの種類によっては差が見られないが、2種類以上のサービスを利用している者は、1種類しか利用していない者よりもストレスが有意に低いことが明らかとなった。この結果は、未だ探索的な研究ではあるが、サービスの多様性がストレス低減に繋がることを示していると考えられる。今後サービスの質について検討する際には、その多様性を考慮に入れた上で、客観的指標を用いて測定していく必要があると思われる。
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