2005 Fiscal Year Annual Research Report
在宅障害老人の家族介護者におけるストレスに関する実証的研究
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03J03667
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
安部 幸志 国立長寿医療センター, (研究所)・長寿政策科学研究部・長寿保健政策科学研究室員
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Keywords | 介護ストレス / 福祉サービス / 介護保険 / 社会的支援 / 認知症 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに行ってきた家族介護者を対象にした縦断的調査をもとに、介護者のストレス評価尺度の妥当性および影響要因について再検討するとともに、介護サービスの質に関するアセスメントツールを作成し、学術雑誌に投稿した。 具体的には、介護福祉サービスに対する満足感およびサービスに対する評価が介護ストレスに与える影響について、一次調査で得られたデータを用いて検討した。対象となったのは、216名の虚弱高齢者を介護している家族介護者である。構造方程式モデリングによる分析の結果、「サービスのおかげで余裕ができた」、「サービスのおかげでくつろげるようになった」といった肯定的評価が、介護ストレスに対して有意な影響を与えてることが明らかとなった。また、本年度では、特に社会的支援に着目し、社会的支援が介護ストレスに与える影響および介護マスタリーとの関連について検討した。まず、社会的支援が介護ストレスに与える影響について縦断的に検討するために、一次調査と二次調査に完全回答を行った173名を対象に分析を行ったところ、介護ストレス評価尺度の下位尺度である「身体的消耗感」と抑うつ(CES-D)得点に、社会的支援得点の変化が影響を与えていた。また、介護マスタリーと社会的支援を同時に重回帰分析に投入したところ、介護ストレスに対してそれらの変数が有意な影響を与えていることが示された。これは、社会的支援を増加させると同時に、介護に対して家族介護者自身が肯定的な評価を獲得できるよう体制を整備していくことが、介護ストレス軽減につながることを示唆していると考えられた。 本研究では家族介護者のストレスに対して、様々な側面から検討を加えてきた。介護保険制度の改正を控え、さらに介護者のストレスに注目が集まっている中、本研究で得られた知見は介護ストレスを把握し、心理社会的な介入方法を検討する上での一助となると思われる。
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