2004 Fiscal Year Annual Research Report
一次視覚野ニューロン活動の最適化における視床-皮質間結合及び皮質内結合の役割
Project/Area Number |
03J03678
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 智之 大阪大学, 健康体育部, 特別研究員(PD)
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Keywords | V1 / LGN / cat / surround suppression |
Research Abstract |
一次視覚野ニューロンの活動最適化について、刺激文脈依存性の観点から以下の3つの実験を行った。第一に、受容野周辺抑制の形成・保持に関連した皮質内ネットワークについて複数ニューロンを同時記録し活動の相互相関を計測した。結果として、入力層である4層から出力層である2/3層に対して、受容野周辺抑制の強度について分散した投射パターンが得られた。このことは、4層から2/3層への投射において受容野周辺抑制の多様性を形成していることが示唆される。第2に、一次視覚野と一次視覚野に投射する外側膝状体のニューロンの受容野周辺刺激に体する方位選択性の程度を計測し比較した。その結果、外側膝状体においても皮質V1細胞と同程度の方位選択性が受容野周辺抑制にみられた。第3に、視覚刺激のコントラストに依存した受容野サイズと受容野周辺抑制の強度変化を一次視覚野と外側膝状体で比較した。その結果、応答強度がおよそ1/2レベルのコントラストでは、V1,外側膝状体ともに受容野サイズが約1.5倍になっており、個々のニューロンの受容野周辺抑制強度は細胞毎に強くなる場合と弱くなる場合が見られた。以上の結果は、皮質V1細胞でみられる方位選択的、刺激コントラスト依存的受容野周辺抑制の基本的特徴は外側膝状体レベルですでに毛衛星されており、皮質内ネットワークはさらにこの文脈依存的反応修飾に多様性をもたらす役割を果たしていると考えられる。以上の実験から一次視覚野でみられる方位選択的な受容野周辺抑制従来考えられているよりも視覚情報処理過程の早い段階である外側膝状体でその多くの特徴が形成されている事が明らかになった。
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