2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03705
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲浜 譲 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 確率解析 / rough path理論 / マリアヴァン解析 / ループ空間 / ラプラスの方法 / 大偏差原理 |
Research Abstract |
今年度はまず、無限次元空間上のrough path理論の確率解析への応用の研究を行なった。rough path理論は確率微分方程式の解の解析を行なう際に、既存の確率解析とは異なる視点を持っており、確率解析の研究にも新たな展望を与えるものと期待される。具体的には、河備 浩司 氏(大阪大学)との共同研究で、ループ空間上のheat processやheat kernel measureに関する大偏差原理を得る事に成功した。この論文は現在、投稿中である。 さらにこの路線をおしすすめて、ループ空間上のheat processの法則に対して、ラプラスの方法と呼ばれている積分の漸近挙動の計算を行った。このラプラスの方法は有限次元の通常の拡散過程の場合はよくしられており、ある意味では「古典」になっているが、ループ空間の場合はまったくわかっていなかった。 この場合をrough path理論を使って証明したが、これは結果のみならず、手法も新しいものを含んでいる。 この論文は現時点でほぼ完成しており、間違いなおしなどの細かい修正が終わりしだい学術雑誌に投稿する予定である。 また、まだ完成にはいたっていないが、進行中の計画がふたつある。 まず、上記のラプラスの方法を、より難しい設定への一般化に取り組んでいる。これは、この種の問題では、よくある自然な問題設定で、計算でき次第、問題にまとめるつもりである。また、これとは別に最近注目を集めつつある、円周上の微分同相群上の拡散過程についても、今年度の後半から計算をはじめた。
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