2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03711
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉居 俊輔 大阪大学, 極根科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁場誘起超伝導 / パルス強磁場 / 層状化合物 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
本研究では「低次元物質」及び「補償効果」をキーワードにして物質探索を進めている。本年度は、層状の2次元性の強い構造を持つ系、近藤格子系および強磁性近傍に位置する物質群において低温・超強磁場下(〜65T)での物性探索を行った。磁場中での超伝導出現そのものの発見には至っていないが、これまでに報告のない相転移や異常な振る舞いが観測されるなどこれらの系の電子状態を理解する上で重要な新たな結果が得られた。以下に主な結果を示す。 ・アルカリ土類充填スクッテルダイト化合物AFe_4Sb_<12>(A=Ca, Sr, Ba) 強磁性的に相互作用するFeの3dバンドに起因した遍歴磁性を示す一連の物質において、磁場中におけるメタ磁性の出現を明らかにすると共に、Ca→Sr→Baに従ってメタ磁性が系統的に弱まっていくことを明らかにした。さらに磁気抵抗測定を行い、磁場中における電子状態の変化を詳細に調べていく。 ・近藤格子化合物CeNiSn及びYbPtIn 近藤半金属CeNiSnでは磁化のみならず磁気抵抗においても強磁場下で特徴的な増加が出現することを明らかにし、磁場印加によって擬ギャップ状態から金属的な重い電子状態へと電子構造が著しく変化している可能性を示した。近藤効果とフラストレーションの効果が共存していると考えられるYbPtInにおいては、極低温下での磁化測定により複雑な磁気相図を決定し、磁気相互作用の詳細を理解する上で重要な知見を得た。 ・金属間化合物RMn_6X_6(R=Sc, Y, Gd-Lu, X=Sn, Ge, Ga) レイヤー構造を持ち高い磁気転移温度(400K〜500K)を持つこれらの物質では複数の相互作用に加えて希土類イオンの大きな磁気異方性が複雑に絡み合って多彩な磁気相転移を示す。強磁場下での磁化および磁気抵抗測定により磁気相互作用や異方性について詳細に調べ、磁場誘起相における磁気構造を考察した 以上の結果については日本物理学会及び希土類国際会議(Rare Earths '04)で発表を行うと共に、現在論文投稿の進備中である。
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Research Products
(1 results)