2003 Fiscal Year Annual Research Report
次世代パワー照明デバイスを目指したナノ微粒子蛍光体に関する研究
Project/Area Number |
03J03732
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大前 邦途 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 窒化物半導体 / レーザアブレーション / フォトルミネセンス / ピエゾ分極 / インジウム組成の不均一性 / 過渡吸収分光法 / ナノ微粒子 / パワー照明 |
Research Abstract |
パワー照明デバイスは、主に励起用の青紫色半導体レーザと発光用の蛍光体部分からなる。本研究の特徴は、励起および発光部分を同一材料であるIII属窒化物半導体で構成することにある。 本年度は、レーザ部分に関してはInGaN活性層におけるIn組成揺らぎとピエゾ分極に起因する光物性を過渡吸収分光法によって明らかにした。得られた結果から、活性層の厚みが5nm以下ではIn組成揺らぎによる局在効果が、5nm以上ではピエゾ分極によるシュタルク効果が光物性を支配していることがわかった。(発表論文Phys.Rev.B vol.68 pp.085303(2003))また、高効率・高出力青紫色レーザの商品化にはGaN基板の開発が重要である。GaN基板の開発には様々な方法が提案されているが本研究ではNa flux法を採用した。サファイア上のGaNテンプレート上にLiquid Phase Epitaxy (LPE)により約数百μmのGaN基板を成長した。フォトルミネセンスの温度依存性とSIMSの結果から、LPE法で成長したGaN基板中の不純物に関して明らかにした。(発表論文Jap.J.Appl.Phys. vol.43 pp.,L173(2004)) 発光部分であるナノ微粒子蛍光体に関しては、レーザアブレーション法を採用した。まず、InN薄膜の作成を試みた。しかし、InNはInとNの結合が弱く不安定であるため高純度・高稠密度のInNターゲットは市販されていない。そこで、まず金属Inをターゲットとし、窒素源としてはチャンバー内に窒素プラズマをたてることにより得られる活性窒素を採用した。その結果、サファイア基板上にC軸配向したIn薄膜が得られた。InNのバンドギャップは0.8から0.9eVと報告されておりInN薄膜は黒色をしているはずである。しかし、得られた膜は赤色をしていた。InN薄膜に多くの酸素が取り込まれることによりバーシュタイン-モスシフトすることが知られている。本研究で得られた薄膜も多くの酸素が取り込まれバンドギャップが1.9eV付近にシフトしたと考えられる。本研究の目的は赤色蛍光体の開発であるので、この試料において1.9eV付近における発光が確認できないかカソードルミネセンスを測定したが残念ながら発光は得られなかった。 今後、InNターゲットを用いたInNの成長や他の窒化物半導体であるGaNやAlNの成長も試みて高効率の赤色蛍光体の開発を行う予定である。
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[Publications] K.Omae, Y.Kawakami, Sg.Fujita, Y.Narukawa, T.Mukai: "Effects of internal electric field on transient absorption in InGaN thin layers and quantum wells with different thickness by pump and probe spectroscopy"Physical Review B. 68. 085303 (2003)
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[Publications] K.Omae, T.Iwahashi, F.Kawamura, M.Yoshimura, Y.Mori, T.Sasaki: "Optical Property of GaN Single Crystals Grown by Liquid Phase Epitaxy (LPE)"Japanese Journal of Applied Physics. 43. L173 (2004)
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[Publications] F.Kawamuira, T.Iwahashi, M.Morishita, K.Omae, M.Yoshimura, Y.Mori, T.Sasaki: "Growth of Transparent, Large Size GaN Single Crystal with Low Dislocations Using Ca-Na Flux System"Japanese Journal of Applied Physics. 42. L729 (2003)
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[Publications] F.Kawamura, M.Morishita, K.Omae, M.Yoshimura, Y.Mori, T.Sasaki: "Novel Liquid Phase Epitaxy (LPE) Growth Method for Growing Large GaN Single Crystals : Introduction of the Flux Film Coated-Liquid Phase Epitaxy (FFC-LPE) Method"Japanese Journal of Applied Physics. 42. L879 (2003)
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[Publications] A.Shikanai, K.Kojima, K.Omae, Y.Kawakami, Y.Narukawa, T.Mukai, Sg.Fujita: "The hot carrier dynamics in InGaN multi-quantum well structure"physica status solidi (b). 240. 392 (2003)
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[Publications] Y.Kawakami, A.Kaneta, K.Omae, A.Shikanai, K.Okamoto, G.Marutsuki, Y.Narukawa, T.Mukai, Sg.Fujita: "Recombination dynamics in low-dimensional nitride semiconductors"physica status solidi (b). 240. 337 (2003)