2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能向上を狙った内部構造を持つシングルナノ粒子の放射線場での合成
Project/Area Number |
03J03751
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清野 智史 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射線 / 複合ナノ粒子 / 貴金属 / セラミックス / 磁性 / 磁気分離 / 触媒 / ナノバイオ |
Research Abstract |
粒径10nm以下の貴金属ナノ粒子が酸化物ナノ粒子表面に担持した複合ナノ粒子を、水溶液中で放射線を利用して合成した。放射線照射により水溶液中に生成する活性種により貴金属イオンが還元され、ナノ粒子として酸化物表面に担持する。 バイオ分野における新規な磁気ビーズ応用を狙って、磁性酸化鉄ナノ粒子表面に金ナノ粒子が担持した金/酸化鉄磁性複合ナノ粒子を合成した。得られた複合粒子は、約5-6nmの金粒子が数十nmの酸化鉄粒子表面に分散して担持した構造を有しており、外部磁場により分離・回収・誘導等の操作が可能である。複合粒子の分散液は、金の表面プラズモン吸収による特徴的な色調を呈し、金の担持量に応じてその吸収が変化することを確認した。またS-Au結合を利用して、17種類のアミノ酸混合水液中から、含硫アミノ酸であるシスチンとメチオニンのみを選択的に分離回収できることを確認した。これらの結果より、金/酸化鉄磁性複合ナノ粒子が、生体分子の磁気分離や薬剤輸送システムの薬剤キャリア等に使用できる、新規な磁気ビーズとして有望であることが示された。 触媒材料あるいは光触媒材料としての用途を狙って、様々な組み合わせの貴金属/酸化物複合ナノ粒子を合成した。担体酸化物としてTiO_2・Al_2O_3・γ-Fe_2O_3等を用いた場合、担体の種類によらず白金で約2nm、パラジウムで約4nmの貴金属ナノ粒子の担持に成功した。また担体として、Al_2O_3がもっともよく貴金属を担持し、次いでTiO_2、γ-Fe_2O_3の順あることが分かった。ただし、担体酸化物量を制御することで、原料水溶液に含まれる貴金属をほぼ全て担持させることが可能である。得られた複合ナノ粒子において、貴金属ナノ粒子がその高い触媒活性を維持していることを確認した。 放射線を利用して合成した複合ナノ粒子が、様々な分野で優れた機能を示すことを確認した。
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