2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の構造形成原理:折りたたみに関わる疎水性アミノ酸残基の特性の解析
Project/Area Number |
03J03754
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 絵理 大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質 / 折りたたみ / フォールディング / アミロイド線維 / β_2ミクログロブリン / 圧力 / 立体構造 |
Research Abstract |
本研究は、タンパク質の立体構造構築原理を明らかにし、さらには、外的環境によってはアミロイド線維のようにまったく異なる構造をとりうる現象の解明を目標に据えて研究を行っている。本年度は、アミロイド線維構造に関する知見を得るために、ヒト由来β_2ミクログロブリンを題材に選択し、このタンパク質が酸性条件下で形成するアミロイド線維に対する圧力効果を調べた。4000気圧まで加圧しながらThT蛍光、光散乱、Trp蛍光をモニタした結果、アミロイド線維は加圧により不安定化することが判明し、さらにタンパク質変性剤や温度の組み合わせによってはモノマーへの脱重合まで観察できることがわかった。現在加圧による構造変化を詳細に解析するべくデータを収集している最中であるが、圧力は一般に他の変性因子に比べて穏やかに作用する因子として知られており、今後アミロイド線維の脱重合過程に中間体様の構造体が存在するか否かの情報や、脱重合過程の体積変化に対する情報などが得られることを期待している。 この研究では、大腸菌を宿主とした発現系を用いてのβ_2ミクログロブリンの大量発現、精製を頻繁に繰り返し、培地、精製に用いるカラムのような消耗品の購入を行った。さらに、高圧力装置を用いた実験に関する消耗品の購入および研究打ち合わせのための出張を行った。
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