2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の構造形成原理:折りたたみに関わる疎水性アミノ酸残基の特性の解析
Project/Area Number |
03J03754
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 絵理 大阪大学, たんぱく質研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク質 / 折りたたみ / アミロイド線維 / β_2ミクログロブリン / 圧力 / 立体構造 |
Research Abstract |
本課題は、タンパク質の立体構造構築原理を明らかにし、さらに、場合によってはアミロイド線維のようにまったく異なる構造をとりうる現象の解明を目標にしている。平成15-16年度にわたり、ヒト由来β_2ミクログロブリンの形成するアミロイド線維に対する加圧効果を詳細に解析した。その結果、アミロイド線維は通常の球状タンパク質に比べて側鎖の相互作用の貢献が少なく、パッキングの程度が低い可能性が判明したので、本年度は、アミロイド線維が形成される過程をさまざまな圧力下で観察し、遷移状態の体積に関する情報を収集した。複数のアミロイド線維構造に対して活性化体積を算出したところ、従来の球状タンパク質の折りたたみ反応とは異なり、アミロイド線維構造形成過程にも側鎖の相互作用の貢献が少ない可能性が示唆された。さらに、高圧下ではアミロイド線維の適応現象も観察され、アミロイドーシスの伝播機構に関する知見を得ることもできた。アミロイド線維研究に対する圧力因子の適用例はまだ少ないが、今後本研究を発展させることによって、アミロイド線維に特有な構造形成機構の解明が期待される。 この研究では、これまでと同様に大腸菌を宿主とした発現系を用いてのβ_2ミクログロブリンの大量発現、精製を頻繁に繰り返し、培地、精製に用いるカラムのような消耗品の購入と、高圧力装置に関する消耗品を購入した。さらに、研究打ち合わせのための出張と、高圧力シンポジウム(THPPS2005)での研究発表のためにフランスへの渡航も行った。
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Research Products
(4 results)