2003 Fiscal Year Annual Research Report
染色体DNA複製の進行阻害の回復における出芽酵母MGS1遺伝子の解析
Project/Area Number |
03J03773
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 知子 (大屋 知子) 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNA複製 / 複製フォーク / 相同組換え / Mgs1 / Sgs1 / ゲノム安定化 / チェックポイント |
Research Abstract |
複製フォーク進行阻害の回避には、DNA修復機構や相同組換えが重要な役割を担っていると考えられている。本研究では、Mgs1蛋白質の役割とフォーク進行阻害の回避メカニズムについて、詳細に知ることを目的とした。 まず、mgs1変異株にRecQファミリー蛋白質であるsgs1変異を導入すると生育状態が悪くなることから、mgs1sgs1二重変異株の表現型の解析をおこなった。この変異株はmgs1,sgs1単独変異株と比較して突然変異及び組換え頻度が相乗的に上昇した。これより、Mgs1はSgs1と共にゲノムの安定化に関与することが示唆される。さらに、この二重変異による生育阻害は、相同組換えに関与するRAD51,RAD54,RAD55,RAD57を欠損させることで抑圧された。しかし、突然変異頻度は二重変異株と比較して上昇した。これより,mgs1sgs1株では通常の状態より相同組換えが高い頻度で生じており、その結果生育とゲノム不安定化を抑制していることが考えられる。一方、同じく相同組換えに関与するRAD52を欠損させてもmgs1sgs1株の生育阻害は抑制されなかった。Rad52蛋白質はRad51依存の相同組換えに関与する機能とそれ以外の未知の機能を併せ持つと考えられていることから、Rad51依存の機能を欠損したrad52-327変異株を作製し、mgs1sgs1変異を導入した。その結果、rad52-327変異は二重変異株の生育阻害を抑圧した。これより、Rad52の未知の機能がMgs1と共に機能することが示唆される。さらにsgs1変異株ではHUに対する感受性がみられるが、mgs1変異の導入により抑制される。加えて、二重変異株ではHU存在下でのRad53蛋白質(チェックポイント制御に関与)のリン酸化が遅れることが判った。これより、Mgs1はチェックポイント制御にも関わっていることが考えられる。 以上より、Mgs1はSgs1と共に、フォーク進行阻害の回避とゲノム安定化に関与することが示唆される。
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