2005 Fiscal Year Annual Research Report
スギの水分通導組織の機能とコストとの関係:水分環境と個体サイズの影響
Project/Area Number |
03J03801
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 新 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 成長 / 繁殖 / 最大樹高 / 水分制約 / 水分通導 / 維持コスト / 構成コスト |
Research Abstract |
本研究は、水分通導組織の機能を評価するとともに、そのコストを定量し、樹木の成長・繁殖に対して水供給にかかわるコストが、どの程度制約になっているかを明らかにすることを目的としている。 昨年度までのプレッシャーチャンバーなどを用いた調査から、枝の次数が低いほどしおれに強い葉を付けていることが明らかになり、また、高次の枝では日中のはやい段階で気孔を閉じてしまうことが示唆された。ここで、枝の次数とは、幹を一次枝とし、一次枝から直接分岐している枝を二次枝、以下同様に、二次枝から直接分岐している枝を三次枝というように定義している。今年度は、あらたに実際の野外条件での気孔コンダクタンスを測定した。その結果、個体の中心を担う低次の枝では、日中もある程度気孔を開いて蒸散および光合成を行なっている一方で、高次の枝では日中の気温が上昇してくる時間帯においては気孔が閉じ気味になることが分かった。つまり、相対的に水が不足してくると高次の枝は蒸散を抑制し、個体の中心構造を担う低次の枝に優先的に水が供給されるようになっていることが確かめられた。樹木は、乾燥や個体サイズの増大といった、個体全体への水分供給が難しくなる条件に対して、こうした主軸への水分供給を優先する仕組みを備えることで適応していることが示唆された。また、昨年度に作成したカロリメトリを利用して繁殖器官の構成コストを正確に定量することができ、繁殖が水分供給に及ぼす影響を定量的に評価することができた。
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Research Products
(1 results)