2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03822
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比野 佳代 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / cRaf-1 / 上皮成長因子 / 細胞膜 / 細胞内情報伝達反応 / 局在変化 |
Research Abstract |
低分子量Gタンパク質Rasとその標的タンパク質Raf1の相互作用は、細胞増殖、分化において重要な情報伝達反応の一つである。我々は、上皮成長因子(EGF)で刺激された細胞で、Raf1の細胞膜への結合密度やRas/Raf1相互作用の持続時間が細胞膜の部位により異なっており、RasとRaf1の特に多く集合する部位では相互作用が60分以上持続し、そこでは細胞骨格が再編成されて膜ラッフルが形成されることを明らかにした。 今回、RasとGFP-Raf1を発現したHeLa細胞にEGFを与え、細胞底面のRaf1の挙動を全反射型蛍光顕微鏡で1分子観察した。EGF添加後Raf1の結合は細胞膜全体で上昇したが、Raf1が特に濃縮してくる部位(濃縮部)が局所的に現れた。濃縮部の面積は平均9μm^2で、他の細胞膜部位(Bulk膜)に比べてRaf1結合密度は約2.5倍であった。Bulk膜、濃縮部どちらにおいても、細胞質-細胞膜間のRaf1分子の恒常的な交換が観察された。Raf1分子の細胞膜滞在時間はBulk膜では0.41秒、濃縮部では0.37秒(63%)と1.6秒(37%)であった。拡散係数は、Bulk膜、濃縮部とも中央値0.04μm/sで、その分布に大きな違いはなかった。 以上から、(1)Raf1の膜結合部位、或いは膜への結合状態が少なくとも2種類存在し、長く結合する部位(状態)は濃縮部にのみ存在すること。(2)1回の滞在時間が短いため、濃縮部とBulk膜間での側方拡散による分子の入れ替わりは殆どないことが示された。これらは、Raf1が細胞膜に滞在する機構が複数存在し、その機構が細胞膜の場所により使い分けられていることを示唆している。
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Research Products
(1 results)