2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03822
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比野 佳代 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 細胞内情報伝達反応 / 低分子量Gタンパク質 / 上皮成長因子 / cRaf1 / 対物型全反射蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質H-Rasは細胞内情報伝達のON、OFFを調節する分子スイッチとして働く重要な情報伝達分子である。Rasは細胞外刺激を契機に、結合しているGDPをGTPに交換されて活性化型となり、標的タンパク質との結合能を獲得して下流に情報を伝達すると言われている。Ras情報伝達機構の解明には生理的条件下でのRasと標的タンパク質との相互作用反応の詳細な解析が必須であるが、その相互作用は非常に弱く不安定なためにin vitroで反応の詳細を明らかにすることは難しい。そこで本研究では、生細胞観察へのG(Y)FPを用いた一分子可視化技術を導入して細胞内で分子間相互作用の反応速度論解析を可能とし、細胞内でRasの標的タンパク質の一つであるRaf1やその変異体の挙動を一分子可視化解析することにより、Ras、Raf1相互作用の反応ダイナミクスとキネティクスについて下記を明らかにした。 1)刺激後のRas/Raf1相互作用は逐次反応で、Raf1は相互作用反応中に中間状態を経由して解離すること。 2)中間状態の形成には、Raf1内の2つのRas結合領域(RBDとCRD)が必要であること。 3)RasとRaf1の結合状態がRas/RBDからRas/RBDCRDへと遷移する反応は中間状態の形成のための律速過程ではなく、Ras/Raf1相互作用初期過程でRasGDPとRasGTPを見分けるために使われていること。 4)Ras/Raf1中間状態の形成にはS/T-キナーゼの結合やリン酸化反応が関与していること。 最後に、上記一分子可視化解析にはコンピュータによる大量の画像演算が必須である。今年度、解析用のコンピュータが故障したが、代替品をすみやかに購入することができたため、研究を遅延無く進めることができた。
|
Research Products
(2 results)