2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03851
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
會澤 久仁子 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケア / 倫理学 / ヒューム / 介護 |
Research Abstract |
第一に、ケア倫理学の核心となるケアの本質を明確にし、特徴づけることについては、実際にホスピス・在宅ケアに携わる人たちと、ケア(介護)について集中的に哲学的探求を行う機会を持つことができ、とりわけ有意義であった。それにより次のことを明らかにでき、論文にまとめて報告した。ケアの本質が「共に生きること」にあるだろうこと。その要点として少なくとも、1.人が生きるために他人からの援助を受ける「ニーズ」、2.「そのニーズへの関わり」(すでに関わっていることや、関わりたいと思うこと)、3.「相互関係」が生じること、4.共同の幸せという「目的」、5.新たな「伝え、伝わること」、展開。さらに考えていくべき課題として、相互関係不成立の場合のケアや共に生きることをどう考えればよいか。特に自殺のような「自己決定」をどう受け止めるのか。そのためにも、あらためて生きることの価値と意味や、死すべき人間の死にゆく価値について考えること。この課題は、ケアと正義の関係を考える研究課題に重なると考えている。 第二に、ヒューム哲学については、ヒュームが生きたスコットランドに行き、当地の自然や18世紀当時の文化について理解を深めた。そしてKeith Hammond教授(グラスゴー大学)を訪ねて教えを受け、ヒューム哲学のケア論理学的側面やそれを含むスコットランド啓蒙を理解するために新たな資料を収集した。また、ヒュームのテキストやベイアーを含む諸研究論文を読み進めた。それについては、特にイギリス哲学会の濱下昌宏教授(神戸女学院大学)に継続的に支援いただいた。成果をさらに発表していくつもりである。 なお収集する資料をリストアップしたものの予算不足であったため、来年度引き続き収集したい。
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Research Products
(1 results)