2004 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性光半導体を用いたスピン境界特性と磁気・光・電子統合機能素子創製の基礎研究
Project/Area Number |
03J03939
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 一成 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 磁性半導体 |
Research Abstract |
パルス・レーザー堆積(PLD)法を用いて、マンガン酸化物薄膜および二酸化チタン系磁性半導体薄膜を作製し、その磁気的・電気的特性を評価した。 1.マンガン酸化物(LaO.7SrO.3MnO3、LSMO)薄膜をこれまですでに研究成果として発表した手法でナノスケールのコラム状に成長させた。これまでLSMOナノコラム・スピンバウンダリによる磁気抵抗(MR)効果の粒界角度依存性について研究・発表をおこなってきたが、本研究ではそのLSMOナノコラムの粒径依存性について研究・発表をおこなった。PLD成長時に基板側にDC負バイアスを印加することにより、LSMOナノコラムの粒径を制御することに成功した。さらにその磁気・電気特性を詳しく調べることにより、スピンバウンダリの密度が大きいほど、MR効果(特に粒界MR効果)が大きくなることを確認した。これにより、LSMOナノコラム・スピンバウンダリの粒界角度依存性および粒界密度依存性に関する一連の基礎的な知見を得た。 2.高温強磁性半導体の有力候補である二酸化チタン(TiO2)薄膜について、3d遷移金属イオン(V、Cr、Fe、Co)を様々な組成でドープし、まずその結晶学的特性をX線回折法(XRD)およびラザフォード後方散乱法(RBS)により評価し、作製した薄膜が高品質結晶であることを確認した。次に、CoドープTiO2薄膜で実績のある成長条件を用いてV、Cr、FeドープTiO2薄膜それぞれの磁気的・電気的特性を評価した。これらの中で、Crドープについて室温下で磁気モーメントを確認した。さらに、そのTi/Cr組成依存について詳しく調べることにより、3.0%を超える高濃度ドープ薄膜中ではCrO2等のクラスターが形成されていることが否定できないが、0.5、1.0%程度ではTiO2によるイントリンシックな強磁性であると考えられる。これにより、TiO2系磁性半導体の3d遷移金属イオンドープに関する一連の基礎的な知見を得た。
|
Research Products
(3 results)