2003 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元力学系の軌道の位相的検証と近可積分系への応用
Project/Area Number |
03J03948
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 裕章 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 数値検証 / Conley指数 / 無限次元力学系 / 準共役力学系 |
Research Abstract |
今年度は研究実施計画に記した通り,Conley指数理論を用いた一意性,安定性も込めた分岐枝の数値検証法の開発を中心に研究を行なった.新しい成果としては近似定常解の分岐追跡アルゴリズムとConley指数を用いた定常解の数値検証法を併用したアルゴリズムを構成することにより,分岐枝を追跡しながらその数学的な存在証明を与えることが可能となった.ここでの結果は位相的な量であるConley指数を実際に計算していることから,勾配系においてはその安定性を判別できる.また従来の検証法と縮小写像の原理から得られる一意性の議論を結びつけることにより,従来の検証法では扱えなかった定常解の一意存在の問題も肯定的に扱えるようになった.この結果によると,従来のConley指数を用いた数値検証法における検証条件を若干強めるだけで,定常解の存在が一意的であることが主張できるものである. またConley指数の情報をさらに利用することで定常解の間のコネクティング軌道を検出することが可能であることも確かめた.これはその他の多くの数値検証法においては定常的な解のみを検証しているという現状において,この方法によると偏微分方程式の解の大域的なダイナミクスを研究できるという点で重要な結果であると考える.具体的には熱対流を記述するモデル方程式であるSwift-Hohenberg方程式において様々な共役,準共役力学系の存在証明を与えることに成功した.またここでの方法は勾配系であれば不変的に適用が可能である.これらの研究結果まとめ,数学会において2度講演を行なった.またSIAMの国際会議ICIAMにおいても研究発表を行った.
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