2003 Fiscal Year Annual Research Report
無線アドホックネットワークの性能向上のための通信経路制御手法に関する研究
Project/Area Number |
03J03957
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 貴之 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 無線アドホックネットワーク / 経路制御 / 経路探索遅延 / TCP |
Research Abstract |
本研究では、無線アドホックネットワークの性能向上のための、新しい通信経路制御手法に関する研究を遂行している。本年度取り組んだ課題について、1)既存のプロトコルの性能に関する調査および、その性能向上手法の提案、2)アプリケーション層のトラヒック特性を踏まえた上での効率の良い通信経路制御手法め提案に分けて説明する。 1)では、無線アドホックネットワークシステム「フレキシブル無線ネットワーク」の動作、および性能を検証し、その結果性能を劣化させる原因となっていると判明した問題点について、改善手法の提案を行った。特にパケットの生存時間の制御と、パケットロスが発生した際の再送制御の改善により、負荷が低いときのパケットロス率を減少し、負荷が高い時のピーク性能を向上できることがわかった。フレキシブル無線ネットワークに実装されている経路制御、およびデータリンクプロトコルは、一般的に用いられている分散ベルマンフォードアルゴリズムと、時分割多重アクセス方式に基づいて作られており、その成果は一般的な無線アドホックネットワークにおいても有意なものである。 2)では、無線アドホックネットワーク上に流れると考えられるアプリケーショントラフィックとして、Webトラフィックやセンサデータトラフィックを想定し、そのようなトラフィックの特性を踏まえた効率の良い通信経路制御手法LHRを提案し、その性能の検証を行った。想定したアプリケーションでは、パケットロスによるデータの欠損を発生させないため、トランスポート層プロトコルとしてTCPが用いられ、またトラフィックの特性として、多数の短時間コネクションが発生する。既存の経路制御手法の多くは、永続的なコネクションのスループットを向上させることに主眼がおかれている。提案を行ったLHRは、多数の短時間TCPコネクションが存在する環境では無視できない要素となる、ルーティングの遅延や経路誤り発生時の経路再構築時間を削減することで、多数のコネクションを短時間で確立することができるプロトコルである。シミュレーションを用いて、既存の他のプロトコルとの性能比較を行った結果、LHRは他のプロトコルに比べて、短時間で、また同じ時間で比較すると多くのコネクション確立を行うことが可能であることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takayuki YAMAMOTO: "Routing in Ad Hoc Networks for Processing Many Short-lived TCP Connections"Proceedings of ANWIRE 1st International Work-shop on "Wireless, Mobile & Always Best Connected". (CD-ROM). (2004)
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[Publications] Takayuki YAMAMOTO: "Performance Improvement, of an Ad Hoc Network System for Wireless Data Service"IEICE Transactions on Communications. Vol.E86-B No.12. 3559-3568 (2004)