2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水田 晃 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 数値流体力学 / 活動銀河核 / ジェット / 相対論的流体力学 / 衝撃波 / 高エネルギー宇宙物理学 |
Research Abstract |
活動銀河核から噴出する相対論的なジェットに関して2次元の流体シミュレーションを行った。2次元軸対称を仮定し、一様な密度空間へ相対論的な流速を持ったビーム流を境界条件として注入し続ける。ビーム流の条件としては周りのガスよりも3桁ほど密度の低いいわゆる軽いジェットを選んだ。一次元的な解析より、ジェットの伝播速度が求められるが、今回はその伝播速度を光速の、20、30、40%の3種類のビームに関して長距離の伝播を追ってみた。その結果、初期の短い期間では一次元的な伝播の解析とよく合うが、その後全てのビームでジェットが減速していくことが確認された。この減速に関してはS checkらが報告したものと同様のものであり、今回広いパラメータ領域で確認されたことになる。減速の原因に関してはこれまでよく分かっていなかった。今回の解析では以下のように理解される。ビームの終端でビームの動径方向の縁に斜め衝撃波が現れ、ビームの一部が垂直衝撃波で強い散逸を受けていない流れが見られる。この流れがホットスポットと呼ばれる部分からのガスの膨張を妨げホットスポット内部に渦を生じさせる。渦は時間とともに成長しビームに対する実効的な断面積の増加がジェットを減速させていく。渦はビーム径の数倍程度まで大きくなると、先端から剥離していくが、新たな渦が同じ機構で発生し、渦の生成は繰り返し起こる。この現象は伝播速度の遅いビーム条件で頻著に見られ、より遅いジェットが効果的に減速していく様子が見られた。これはジェット全体の外形にも影響し、遅いジェットは全体としてラグビーボール型のようになり、早いジェットは寸胴型となる。これらのモデルに関してシンクロトロン放射の分布を調べてみた。より遅いジェットのモデルはより広がった放射分布をし、より早いジェットはビーム上と先端付近にしか放射分布が見られない。これは、渦の生成によって放射し得るガスがより横方向へ吐き出されるためである。この成果はApJ誌で発表される。また、より、広いパラメータを調べることで、ジェットの伝播の全体像をつかみ、観測との比較をするために計算を行った。
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Research Products
(1 results)