2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー照射ターゲットにおける流体力学的不安定性の抑制に関する研究
Project/Area Number |
03J03976
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境家 達弘 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザー核融合 / 流体力学的不安定性 / レイリー・テイラー不安定性 / レーザー / プラズマ |
Research Abstract |
レーザー核融合で球対称爆縮を阻害する原因となるレイリー・テイラー(RT)不安定性をよく理解するために、ポリスチレンターゲットを用いていくつかの実験を行った。はじめにRT不安定性の成長率の理論式を検証するために、これまで計測が困難であったが、最近観測可能となったターゲットの密度計測と同じ実験条件で、RT不安定性の成長率の観測を行った。理論式はγ=√<kg/(1+kL)>-βkv_aで表されると考えられている。γはRT不安定性の成長率、kは擾乱の波数、gは加速度(重力)、Lは密度スケール長、v_aはアブレーション速度、βは熱輸送機構に依存する係数である。ポリスチレンターゲットの場合、係数βは1.7と予測されている。各パラメーターの計測により,実験的に係数βの値を評価した。擾乱波長20μmではβ=1.8、擾乱波長50μmではβ=4.8が得られた。この結果より、短波長擾乱(20μm)においては理論式が実験をよく再現できることがわかった。しかし中波長擾乱(50μm)では、RT不安定性の成長をさらに安定化させる物理機構の存在を示唆する結果が得られた。 そこでこの中波長領域の安定化をよく理解するために、擾乱波長50μmに対して擾乱の初期振幅を変化させることによって時間的に広範囲な領域でのRT不安定性の成長観測を行った。この結果と2次元輻射流体コードとの比較を行った結果、アブレーション流によってレーザーの吸収面が擾乱に対して逆位相に変調することで起こる安定化を考慮するだけでは実験が再現されないことがわかった。つまり、2次元流体コードに含まれていない物理がこの中波長領域の安定化に寄与していることがわかった。アブレーション流によって入射レーザー方向に密度擾乱が存在すると考えられるので、その歪みによつて入射レーザーが収束し、RT不安定性の成長を安定化していると考えている。
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Research Products
(1 results)