2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J03978
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩城 光宏 大阪大学, 基礎工学研究科(医学系研究科), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質ダイナミクス / ナノバイオ / 分子機械 / モーター蛋白質 / 1分子計測 / ミオシン / アクチン / レーザートラップ |
Research Abstract |
本研究の目的は蛋白質の機能発現と蛋白質構造のダイナミクスの相関を計測することであり、計測対象は筋肉収縮などの生体運動を担うミオシン-アクチン系である。ミオシン-アクチン系の機能は力発生であり、我々の研究室で開発・発展させてきた1分子ナノ計測技術を用いて力発生の特性が詳細に計測できる。 一方で、ミオシン-アクチン系でどの部位のダイナミクスを検出するのか、実験を立ち上げる前段階で詳細に予想を立てる必要がある。なぜなら、特定部位のダイナミクスの計測を立ち上げるのに1年近くかかる可能性があるためである。どの部位が機能発現と関係したダイナミクスをしている可能性があるか、ダイナミクスを検出するために技術的に蛍光ラベルが可能かなどを検討した結果、ミオシン頭部のダイナミクスを選択することにした。当初の予定ではアクチン分子のダイナミクスを選択する予定であったが、アクチン分子より期待できる結果を得たためである。その結果を以下にまとめる。 ミオシン-アクチン系での機能とダイナミクス相関の同時計測を始める前段階としてミオシンの運動特性の詳細な計測を行った。研究代表者が計測したミオシンはミオシンVIと呼ばれるミオシンである。ミオシンVIの運動の外力に対する依存性・運動の大きさなどから、ミオシンVIは当初予想されたアクチン分子とは別にミオシン頭部の付け根の構造が動的に変化することで機能を発現できることが示唆された。この結果を踏まえて、ミオシン頭部付け根近くのN末に蛍光色素ラベルをして運動活性を持つことなどを確認した。 以上のように、今年度ではダイナミクス検出部位の選定が完了し、蛋白質が活性を持った状態で蛍光色素ラベルをすることが可能となった。来年度は、ミオシンの1分子ナノ計測を行いながらミオシン分子にラベルした蛍光色素1個をモニターできる系を構築し、機能とダイナミクスの相関のデータを得る予定である。
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