2003 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ帯における金属フォトニック結晶に関する研究
Project/Area Number |
03J04028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮丸 文章 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属フォトニック結晶 / 表面プラズモン-ポラリトン / 光の異常透過 / テラヘルツ電磁波 |
Research Abstract |
本研究において,円孔配列型金属フォトニック結晶の透過特性に関する研究を行った.一般に,光(電磁波)の波長より小さい直径を有する金属開孔の透過率はきわめて低い.しかし,金属開孔を周期的に配列することにより,非常に透過率が増大する,光の異常透過現象が報告されている.本研究では,この現象の物理的原因を,テラヘルツ電磁波帯において詳細に調べ,またその過程の中で金属フォトニック結晶に関して新たな光学特性を見いだした.以下に研究の概要を示す. まず透過スペクトルの入射角度依存性,開孔数依存性の実験結果から,金属フォトニック結晶表面に励起される表面プラズモンのフォトニックバンドを確認した.これは光の異常透過特性が表面プラズモンの励起と密接に関係している証拠である.またフォトニック結晶の材料の誘電率を,温度を制御することによって変化させ,光の異常透過現象には表面プラズモンが非常に重要な役割を果たすことを確認した. また,金属フォトニック結晶を2層積層することにより,透過特性のチューニングが可能であることを見いだした.これは2層間のファブリー・ペロー効果に加え,表面プラズモンのカップリングによるものであることを確認した.現在,この現象における詳細な解析を行っている. さらに本研究では,金属フォトニック結晶透過後の光の偏光が回転する現象を見いだした.これは金属フォトニック結晶を波長板として利用できることを示唆している.現在テラヘルツ領域では波長板が実現されておらず,金属フォトニック結晶により波長板の実現が可能になると考えられる.この現象は,従来の波長板とは原理が全く異なる新規の現象である.偏光スペクトルの入射角度依存性や偏光角依存性など詳細な実験を行うことによって,この現象が表面プラズモンと密接に関係していることを見いだした.この偏光特性は,金属フォトニック結晶の幾何構造により変化させることができ,現在さまざまな構造の金属フォトニック結晶を作製することにより,偏光特性の向上を行っている.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] F.Miyamaru, T.Kondo, T.Nagashima, M.Hangyo: "Large polarization change in two-dimensional metallic photonic crystals in subterahertz region"Applied Physics Letters. Vol.82. 2568-2570 (2003)
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[Publications] F.Miyamaru, M.Hangyo: "Plarization responce of two-dimensional metallic photonic crystals studeid by THz time domain spectroscopy"Applied Optics. Vol.43. 1412-1415 (2004)
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[Publications] 宮丸文章, 近藤孝志, 長島 健, 萩行正憲: "テラヘルツ帯2次元円孔配列フォトニック結晶の透過特性"電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌). Vol.123-A. 995-1001 (2003)