2003 Fiscal Year Annual Research Report
エキシトンダイナミクスを用いた励起エネルギー移動に対する構造依存性の理論的解明
Project/Area Number |
03J04043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高畑 昌弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エキシトン / ダイナミクス / 励起エネルギー移動 / 構造依存性 / 分子集合体 / 双極子-双極子相互作用 / マスター方程式法 / 電子-格子相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、励起エネルギー移動について、種々の分子集合体において理論的に行った、エキシトンダイナミクスの結果を解析することにより、分子集合体の構造とエネルギー移動の方向との間の相関について解明するものである。 今年度の研究実績としては、まず、デンドリティック分子集合体におけるエキシトン移動について、投稿論文(Journal of Theoretical and Computational Chemistry)として発表した。 次に、年次計画の一年目として主なものである、種々の構造やサイズを持った分子集合体モデルにおけるエキシトンダイナミクスを行った。例えば、1次元の構造を持ったJ型の分子集合体においては励起エネルギー移動が起こらないことが知られているが、(a)部分的には非局在的な状態を形成しながらもそれらがお互いによく分離されていることと(b)それらの非局在化した状態が互いに空間分布の重なりを持っていること、の特徴を持たせることにより励起エネルギーが起こりうることを示した。また、自然界の光合成系に見られるようなリング型の分子集合体においても、リングの半径とそのリング上の分子数により励起エネルギー移動の方向を制御しうることを示した。この結果もリングの半径と分子数の制御により、上述した(a)及び(b)の特徴が満たされていることが重要であることがわかった。J型の結果は2003分子構造総合討論会において発表した。また、リング型の結果は第84回日本化学会春季年会において発表する。さらに、順次雑誌論文にも発表していく予定である。 電場強度が強い場合のエネルギー移動を調べる手段として、2エキシトンのダイナミクスを目的とした研究について、デンドリティック構造への簡単なモデルによる結果を解析し、雑誌論文(International Journal of Quantum Chemistry)へ発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masahiro Takahata et al.: "Theoretical study on the structural dependency of the exciton migration of a dendritic molecular aggregate"Synthetic Metals. 137. 875-876 (2003)
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[Publications] Masahiro Takahata et al.: "One- and two-exciton migration dynamics of a dendritic molecular aggregate"International Journal of Quantum Chemistry. 95. 472-478 (2003)
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[Publications] Masahiro Takahata et al.: "Exciton migration in dendritic aggregate systems using the quantum master equation approach involving weak exciton-phonon coupling"Journal of Theoretical and Computational Chemistry. 2. 459-479 (2003)