2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮内 雅彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シクロデキストリン / 超分子ポリマー / 包接錯体 / 螺旋構造 / 一置換修飾 / 分子認識 / ロタキサン |
Research Abstract |
生体系では、分子が特異的な相互作用により超分子構造体を構築し、さらに複合化、組織化することでより高次の超分子構造体を形成している。また、外部刺激等により分子レベルでその超分子構造が制御されることで、生体内における各器官が機能を果たしている。さらにその高次の超分子構造体は、構成単位の一部が損傷を受け、欠損しても自己修復する機能も有している。人工系でこのような高次の超分子構造体を構築し、生体系のシステムを化学の観点から解明するためには、シクロデキストリン(CD)の環状構造と包接錯体形成能を利用し、一置換修飾CDによる自己組織化を生体系モデルとしたアプローチ方法が、より価単、迅速であると考えられる。これまでに一置換修飾CDを利用した自己組織化の報告例は、ベンジル基をCDの一級水酸基側に導入した修飾CDが水溶液中において2量体の分子間包接錯体であった。しかし、今回、我々は、置換基部位として剛直な構造を有する桂皮酸アミドをCDの二級水酸基側に導入した修飾CDが水溶液中で超分子ポリマーを形成していることを初めて見出した。置換基部分をさらに伸長させ、導入した修飾CDは低濃度で超分子ポリマーを形成することを見出し、その超分子ポリマーの構造について円二色性スペクトル測定を用いて検討を行った結果、螺旋構造を形成していることを初めて見出した。さらに、その螺旋構造は温度に対し可逆的であることが分かり、このことは、外部刺激によって解離した超分子ポリマーの構造が元の構造に再構築されたことを意味している。さらに、この形成している超分子ポリマーについて走査型トンネル顕微鏡により直接観察することに成功した。また、今回、ロタキサン構造を有する一置換修飾CDについても合成を行い、それらが水溶液中で超分子ポリマーを形成していることも見出し、線状構造を有するロタキサン型超分子ポリマーの形成にも初めて成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira Harada, Masahiko Miyauchi, Taiki Hoshino: "Supramolecular polymers Formed by Cinamoyl Cyclodextrin"Journal of Polymer Science : Part A : Polymer Chemistry. 41. 3519-3523 (2003)
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[Publications] Masahiko Miyauchi, Yoshinori Kawaguchi, Akira Harada: "Formation of Supramolecular Polymers Constructed by Cyclodextrins with Cinnamamide."Journal of Inclusion Phenpomena, Special Issue. (印刷中).