2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J04060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南部 寿則 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラジカル反応 / 水系溶媒中 / 環境調和型反応 / チオエステル / 水溶性ラジカル開始剤 / 効率的反応 / コバルト触媒 / 炭素-窒素結合形成反応 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、水中でのラジカル反応条件として、水溶性ラジカル開始剤と界面活性剤の組み合わせを用いることにより、汎用性の高い反応条件の開発に成功している。今回は、これまでの方法より更に簡便に目的物を効率よく得られる手法を開発するべく、界面活性剤を用いない含水アルコール溶媒を用いたラジカル還元反応の開発に取り組んだ。その結果、イソプロパノール中、水溶性ラジカル開始剤、次亜リン酸水溶液及びトリエチルアミンとの組み合わせ条件において、ハロゲン体が容易に還元され、目的物が高収率で得られることを見出した。この方法論では、用いる試薬がすべて水溶性であるために、分液操作によってすべて取り除くことが出来る。即ち、目的の化合物を単離する際に、カラムクロマトグラフィーによる精製過程を必要としないため、非常に簡便且つ効率的な手法である。 次に申請者は、コバルト触媒を用いたオレフィン類に対するアゾ化合物の還元的付加反応に関する研究を、平成16年6月よりスイス国ETH大学Carreira研究室にて行った。この反応は、アルコール溶媒中ラジカル機構で進行することから、当該研究課題と類似しており且つ新規性の高い炭素-窒素結合形成反応の開発研究であるために、申請者は海外で研究を遂行することとなった。この反応の特徴は、アゾ化合物がオレフィン類に対して位置選択的に付加するところである。このような背景下、申請者は様々なオレフィン類及びアゾ化合物を用いて、汎用性の高い炭素-窒素結合形成反応の開発に取り組んだ。その際、様々なリガンドを用いて新規コバルト触媒を合成し、この反応に適応したところ、より活性の高いコバルト触媒の開発に成功した。今後、この還元的ヒドラジン化反応は水分子との副反応が考え難いことから、反応条件を精査することにより水中でも達成できるのではないかと考えられる。
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Research Products
(3 results)